日本出土の化石人骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 05:43 UTC 版)
日本列島からは、山下洞人(沖縄県那覇市)、浜北人(静岡県浜松市)、港川人(沖縄県島尻郡八重瀬町港川)、ピンザアブ洞人(沖縄県宮古島)などの更新世人類が出土している。 山下洞人は今から約3万2,000年前で、いまのところ日本最古の化石人骨である。港川人は、骨の遺存しやすい石灰岩の割れ目からほぼ9体分が出土した良好な資料で、中国南部の柳江人に相似する。約1万8,000年前の更新世人類と推定される。浜北人は、1960年(昭和35年)から1962年(昭和37年)にかけて見つかったもので、約1万4,000年前のものと考えられる。ピンザアブ洞人は、1979年(昭和54年)から1983年(昭和58年)にかけて発見され、推定年代は約2万6,000年前で、港川人に先行するものと考えられる。 直良信夫によって発見され、「明石原人」として有名な人骨については、長いあいだ明石原人論争がつづいてきたが、検討の結果、遠藤萬里と馬場悠男によって縄文時代以降の人骨ではないかとする見解が示され、原人ではない可能性が示された。同人骨の実物は、失われてしまっており、完新世のものであるという説が有力であるが、なおも更新世人骨とする見解があり、論争は決着していない。しかし、日本における更新世人類の存否を提起した点で重要な意味があった。 2000年(平成12年)秋に表面化した旧石器捏造事件により、旧石器時代の遺跡の再調査がおこなわれ、それにともない、従来、更新世人類とされてきた牛川人(愛知県豊橋市)、三ヶ日人(静岡県浜松市)、葛生人(栃木県佐野市)、聖嶽人(大分県佐伯市)については、放射性炭素年代測定とフッ素含有量の測定にもとづく理化学的な調査がおこなわれた。その結果、いずれも縄文時代以降の化石人骨である可能性が高くなった。
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