日本での関連法規および条例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/04 20:49 UTC 版)
「モーターボート」の記事における「日本での関連法規および条例」の解説
日本では(タイプにもよるが、一般に)モーターボート類を操縦するためには小型船舶操縦士の免許が必要となる。 そして実際に操縦する時には、海上交通三法、つまり海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法のすべてを遵守して操縦することが求められる。 小型船舶操縦士取得のための教科を学んだり、海上交通三法の内容を理解すれば分かることだが、水上交通では「優先順序」というものがあり、水面では最も弱い存在が一番優先されなければならないという論理で優先順序が定められており、一番優先され尊重されなければならないのは、もっとも弱い存在である遊泳者(=泳いでいる、生身の人)であり、その次に手漕ぎボートの類であり、その次に操船が難しい帆船(セイリング・ディンギーやセイリング・クルーザーの類)であり、モーターボートの優先順序はあくまでそれらより下である、と法規によって定められている。したがってモーターボートは、遊泳者や手漕ぎボートやセイリング・ボートの邪魔をしては絶対にいけない。たとえば引き波などを起こして遊泳者に迷惑をかけたり、手漕ぎボートの安定を乱したりしては絶対にいけない、と法律で定められている。もしもモーターボートがやむなく遊泳者や手漕ぎボートなどと同じ水面を航行する場合は、危険なのでむやみに近づきすぎてもいけないし、引き波で迷惑をかけないように最徐行で(最微速で)進行しなければならない。特に遊泳者や手漕ぎボートに向かって引き波などを引き起こすと、遊泳者やボートに乗っている人の生命を奪うことになりかねない。また帆船類(ディンギーヨット、セーリングクルーザー等)の進路の邪魔をしても絶対にいけない。セイリングというのはエンジンによる航行よりはるかに制約が多く困難な行為で海上では弱い情況に置かれているので、「帆船は(弱者であるので)水上交通ではモーターボートよりも優先順位が高い」と定められており、モーターボートは帆船(セイリングボート類)の進路を絶対に邪魔してはいけない。またモーターボートは船舶類が係留・停泊している場所の近くを航行する時に引き波を起こしてもいけない。どれほど急いでいる時でも、必ずしっかり減速してから接近・通過し、(操縦者が再加速を望む場合でも)しっかり通過し終えた後に安全な距離を確保してから再加速する、ということが求められている。引き波は係留中の船舶類を激しくゆさぶり、船体と船体を互いに衝突させることで傷つけ、莫大な額の損害(船にもよるが、時には数百万円~数千万円もの損害)を生じさせる結果を生みがちだからである。 つまりモーターボートは比較的強者であるので、逆に水上交通での優先順序としては低いと定められているのであって、操縦時には、常に周囲の水面に注意を怠らず、ほとんどの存在に対して謙虚に進路を譲り、全ての存在に対して引き波で迷惑をかけないように、常に速度を落とすことができる状態で操縦しなければならない。良心的な操縦者は実際にそのように、法規を徹底的に遵守して操縦している。 (ところが、こうした法規があるにもかかわらずモーターボートの操縦者の中に、ちょうど陸上交通でも暴走族や自動車の無謀運転をする輩がいるように、モーターボートの操縦者には「勘違い」系の、スピードを出すことに夢中で平然と法規を破り他者に迷惑や実害を与える者が多いので)あらためて条例レベルでも罰則を設けている都道府県もある。 各都道府県の迷惑防止条例の中には、人間が遊泳したり手漕ぎボート等の小舟が回遊する水面において、モーターボートを用いて推進する舟艇で遊泳者や小舟に乗っている者へ危険を覚えさせることを処罰する規定が存在することがある。 安全な水上交通を実現するために、遊泳者や手漕ぎボートやセイルボートの乗り手でモーターボートの乱暴な操縦によって迷惑を蒙った人は、横暴な操縦をしたモーターボートの船舶登録番号などを記録し、積極的に当局に通報することも求められている。これを行うことよってはじめて法規や罰則が(ただの文言ではなく)実際に有効に機能するようになり、横暴な操縦者を水面から取り除いてゆくことが可能になり、法規どおりの水上交通が実現することになる。
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