支援車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 08:18 UTC 版)
長期の災害現場で消防隊員への後方支援を目的とした車両。阪神・淡路大震災を契機に、消防の後方支援体制の充実を図るために配備されたが、緊急消防援助隊の設置後、全国各地の消防本部の度重なる広域派遣によってその重要性が高まり、2006年になって支援車という新たな規格が誕生し、支援車I型と支援車II型に分離された。さらに、2007年にはIII型とIV型も生まれた。 I型 簡単な料理を作れるキッチンシステム、シャワー、トイレなどを装備する消防のキャンピングカー。テーブル・椅子・エアコン、大容量の電気炊飯器、こんろなどの基本的な設備と共に、様々な災害に対応できる資機材を搭載している。その分購入・運用費など負担が大きく、大 - 中規模自治体が保有するのが一般的である。また、救助隊の予備車や水難救助車として運用する本部もある。 緊急消防援助隊の支援車両という位置づけであるが、大規模災害・広域応援時のみならず一般災害時でも隊員の一時休息のためや被災した住民の一時避難所として活用している自治体もある。阪神・淡路大震災を契機に消防庁によって47都道府県全部に1台ずつの配備が進められ、消防庁が所有し自治体に貸与・管理させる車両には所属消防本部名とは別に「総務省消防庁 (配備先都道府県名)」のネームが入れられている。 支援車I型 いすゞ・フォワード(川越地区消防組合) 支援車I型(消防庁貸与) 日野・プロフィア(岡崎市消防本部) 支援車I型(消防庁貸与) 日野・プロフィア(横浜市消防局) II型 後述の資材搬送車の中でもコンテナ式や有蓋車型がこれに当たる。物資を輸送する。I型と異なり安価で済み、資機材の搬送能力も高い。このような点から、比較的中規模の自治体に配備されている。 III型 主にマイクロバスが対象となる型。20名以上の乗車人員と、車両後部に資機材搬送用のスペースを確保すること、4輪駆動車であることなどが規定されている。従来は人員搬送車と資機材搬送車で行っていた活動を兼務できるものとなっている。 IV型 無線・通信系を強化した車両と定められている。主にSUV・クロスカントリー型の車両に複数の無線やファクシミリ等の設備を充実させたものとなっており、小型で機動力のある無線通信・統制車として運用するのが目的とされる。 拠点機能形成車 総務省消防庁が東日本大震災の教訓から2013年度から順次配備を進めている車両。I型に準じている。大型エアーテント、発動発電機、浄水器、調理セット、トイレ・シャワーセット、寝具セット、暖房機、冷房機など、大人数での宿営が可能な資機材を積載できる。東京消防庁の即応対処部隊にも配備されている。 拠点機能形成車埼玉西部消防局 これらは補助対象として定められた支援車規格であり、トラックの荷台に簡易的なキャビンを設置したものや、バスを改造したものなど、各地に様々な支援車がある。
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