排油機構とは? わかりやすく解説

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排油機構

読み方はいゆきこう
【英】: drive mechanism

石油地表生産される過程は、石油油層内を流動して坑井排出される過程(排油)と、坑井内を流れ地表達す過程リフティング)の二つ分けて考えることができるが、このうち前者にあたる、油層内において油を坑井向かって持続的に流動させる機構を排油機構という。
この原動力となる排油エネルギーの種類とその作用仕方によって、排油機構は次のような幾つかの型に分類される
(1) 溶解ガス押し型solution gas drive):油層圧が油の飽和圧力以下に低下したとき、油に溶解していたガス遊離し、この膨張エネルギーにより排泄が行われるもの。この型では油層圧低下相対的に急速であり、これに伴い油層内でガス分離流動し始めるとガス・油比急激に上昇するそのままでは採収率が低いので、二次採取法適用肝要である。
(2)膨張押し型depletion drive, oil expansion drive):油層圧が油の飽和圧力達するまでの油自体膨張エネルギーにより排油が行われるもの。枯渇押し型ということもある。油の膨張率ガスのそれに比べて小さいため、生産の全過程のうち、この機構による排油量は相対的に小さい。
(3) ガス・キャップ押し型gas-cap drive):油層上部ガスが油と接してガス・キャップとして存在しており、その膨張エネルギーにより排油が行われるもの。この型では生産に伴う油層圧低下は緩やかであるが、ガス・キャップに近い坑井ガス・油比上昇し産油レート低下するうになる
(4) 水押し型(water drive):油層圧低下に伴い油層下部または周縁部存在する層から油層内に浸入することにより排油が行われるもので、油水界面が油層底部全体にわたる底型(bottom water drive)と構造翼部のみにある場合の端型(edge water drive)とに分けられる。この型では油層圧低下は最もゆっくりしており、採収率は高い。
(5) 重力押し型gravity drive, segrega tion drive):溶解ガス押し型特殊ケースである。油層圧低下につれて油から分離したガスが、垂直方向の浸透率大きい、油層傾斜角度が大きいなどの条件によってガス・油の比重差によって油層上部上昇集積し、油は逆に油層下部下降し二次的にできたガス・キャップ・ガスの膨張エネルギーにより下部の油を効果的に押し出すもの。
実際油層では、以上の排油機構が組み合わさっている例(混合押し型表現することもある)が多いが、油層特徴を表すには卓越的な排油機構で代表させるのが一般的である。排油機構を把握することは、油田開発計画の策定ガス圧入必要性有無坑井数・位置生産レートなど)を行ううえで重要である。油田生産挙動は排油機構に応じて特徴的であるとともに究極採収率大きく影響する。排油機構の各形式対し一般に以下の究極採収率見込まれる

溶解ガス押し型1225 %, 平均 18
・油膨張押し型:2 ~ 5 %, 平均 3 %
ガス・キャップ押し型2040 %, 平均 30
水押し型-端型:3560 %, 平均 45
水押し型-底型:2040 %, 平均 30
重力押し型5070 %, 平均 60



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