抵抗力の顕われとしての知性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 16:03 UTC 版)
「人類の知能の進化」の記事における「抵抗力の顕われとしての知性」の解説
大きな頭部を持つ新生児はそれだけ出産が困難であり、大きな脳は栄養と酸素をそれだけ必要とする点でコストがかかる。しかし、より大きな脳を発現させる対立遺伝子は現代社会においても継続的に拡散しつづけている。この事は、より賢い人間が間接的に選択上の有利さを持つ可能性を示唆する。 人間の賢さは、寄生虫や病原体に対する全般的な抵抗力を端的に示す指標として、性選択という文脈で自ずと選ばれたものだとする最近の研究がある。幼少時の感染によって認知能力が深刻に損なわれている人は多く、百万人につき百人という単位と見積もられる。医学的な基準に照らして「病気」とはみなされない、深刻でないにせよ何らかの精神的障害を持つ人はさらに多く、彼らも潜在的な配偶者候補たちから相手として不足とみなされるかもしれない。現在、人間の認知能力に対し地域を問わずダメージを与えている病原体として主に挙げられるものには、髄膜炎、トキソプラズマやマラリア原虫といった原生生物、回虫や住血吸虫といった寄生虫がある。 かように、広範・有毒・原始的な伝染病は重要な役割を果たしている。この状況を踏まえると、より賢い配偶者を求める我々の性的指向は、最も抵抗力のある対立遺伝子を子孫が受け継ぐ可能性を高めることになる。配偶者を選ぶにあたり、美しい(と本人が感じるところの)容姿、身長、社会的地位(すなわち裕福さや名声)、思いやりや誠実さといった性格的特徴をもとに配偶者を選ぶ人たちがいるように、生存性の高い優れた遺伝子の顕われを人々は探しているだけである。知性とはそうした顕われの一つであると思われる。
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