手足荒神とは? わかりやすく解説

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足手荒神

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/29 02:38 UTC 版)

足手荒神(あしてこうじん)は、手足のである。民間信仰を起源とし、手足の病気や怪我に悩む者がその快癒を祈願するもので[1][2]信仰の特徴として手型や足型を奉納することが見られる[3]。中にはギプス松葉杖などを奉納するものもある[4]。他人が奉納した手型、足型で患部をなでる例もある[5]


  1. ^ a b 『日本の神仏の辞典』21頁
  2. ^ 伊藤『宴と日本文化』130-131頁、(伊藤幹治 1994, p. 180-181)は、「民衆生活のなかから生まれた小さな神がみ」として、疣石さま、耳神、腰神とともに足手荒神を挙げる。
  3. ^ 『日本の神仏の辞典』21頁をはじめ、後掲する各所の足手荒神についての文献。
  4. ^ 例えば、今村『日本の民間医療』79頁は別府市南立石の手足荒神の奉納品として松葉杖を挙げ、『九州の民間信仰』245頁に掲載の「竹田市拝田原の足手荒神」の写真には奉納された複数の松葉杖が写り、『竹田市史 下巻』346-347頁は豊岡地区天神にある足手荒神の奉納品としてギプス・松葉杖を挙げる。
  5. ^ 『九州の民間信仰』186頁〔牛島盛光執筆〕、牛島『図説日本民俗誌』91頁
  6. ^ 『熊本県神社誌』163頁、『大津町史』1131頁
  7. ^ 『全国寺院名鑑』203頁、『熊本県の地名』728頁、『角川日本地名大辞典 熊本』121頁、『日本名刹大事典』24頁、『神社・寺院名よみかた辞典』432頁
  8. ^ 医王寺の青面金剛が足手荒神として祀られていることについては、医王寺の庚申碑と青面金剛堂(市指定) - 八代市公式ホームページ白雲山 医王寺 - 九州八十八ヶ所百八霊場会。『角川日本地名大辞典 熊本』121頁には、青面金剛堂は足手荒神として参拝者が多いとある。なお、医王寺再興後の住職は玄竜という修験者であった。内部リンク先参照。
  9. ^ 窪『庚申信仰の研究』452頁は、西巌殿寺で足手荒神として祀られている石像は青面金剛で、「豪照」「豪海」という修験者らしき名が彫ってあるとする。
  10. ^ 大辞泉【青面金剛】
  11. ^ a b c d e f g h i j k 『九州の民間信仰』244頁〔松岡実執筆〕
  12. ^ a b 境内 - 六角堂観音本覚寺
  13. ^ a b 『岱明町史』1377頁
  14. ^ a b 高野山 宗泉寺について
  15. ^ 丸山『熊本県民俗事典』271頁
  16. ^ 赤峯「同情悲願の御利益」
  17. ^ 旧飽託郡内の足手荒神としては、熊本県熊本市西区河内町野出にある「足手大荒神」が地図上に確認できるが、託麻某の伝来をもつ足手荒神との関連は不明。
  18. ^ 矢島嗣久 2007, p. 74.
  19. ^ 坂石要 2003, p. 46.
  20. ^ 今村『日本の民間医療』79頁や『九州・沖縄の民間療法』148頁〔小玉洋美執筆〕によれば、元は大木の根方に祀られていたという。
  21. ^ 大分合同新聞 平成3年7月9日 朝刊13頁、『生きている民俗探訪 大分』108頁、『九重町誌 下巻』816頁
  22. ^ 大辞泉【少彦名神】大辞泉【薬師如来】
  23. ^ a b 柳田『村のすがた』100-102頁の小稿「足手荒神」は、「秋田縣男鹿本山」「男鹿の本山の門前」(現・男鹿市船川港本山門前)の足手荒神を紹介。
  24. ^ a b 『綜合日本民俗語彙 第1巻』26頁は「足手荒神 秋田縣南秋田郡」の写真を載せる。『日本民俗図録』図版163頁も同じ写真を載せ、解説144-145頁には「秋田縣南秋田郡拂戸村」とあり、『雪国の民俗』213頁の同じ写真には「南秋田・拂戸」とある(払戸村は現在の男鹿市)。『雪国の民俗』を参考文献として挙げる『秋田民俗語彙事典』27頁の「足手荒神」の項には、男鹿半島若美町・払戸長根集落にある旨の記述があり、『秋田民俗事典』男鹿市10頁の「足手荒神」の項にも、払戸の長根集落にある旨の記載がある。
  25. ^ ほかに秋田県の足手荒神に触れたものとして、『日本妖怪大百科』34頁。同種の習俗がある福井県の三方石観音、岡山県の足王様とともに挙げる。
  26. ^ 『ムラの生活 下』379頁に、浮羽郡田主丸町大字野田字石王における個人祈願として、「草野の足手コウジン」での手足の病気平癒祈願が挙げられている。
  27. ^ 『ムラの生活 下』431頁に、三井郡大刀洗町大字守部における個人祈願として、足手荒神への手足の病気平癒祈願が挙げられている。
  28. ^ a b 『大分市伝統文化調査報告書 野津原地区』48頁
  29. ^ a b 『直入郡志』216頁、『綜合日本民俗語彙 第1巻』26頁、柳田『分類祭祀習俗語彙』454頁、『日本の神仏の辞典』21頁、染矢『日本の民俗 大分』140頁、民俗語彙データベース - 国立歴史民俗博物館サイト内(「アシテコウジン」で検索)
  30. ^ a b 北緯33度15分51.5秒 東経131度10分45秒 / 北緯33.264306度 東経131.17917度 / 33.264306; 131.17917
  31. ^ 前津江村(現・日田市前津江町)の足手荒神につき『民俗行事と伝説 前津江の文化財』53頁。また中津江村(現・日田市中津江村)にあった足手荒神を、道路拡幅工事に伴い、玖珠郡九重町の老健施設敷地内に移設したとの記事がある(西日本新聞 平成8年4月25日 朝刊 20頁)。
  32. ^ 柳田『村のすがた』102頁は、佐賀県神埼郡三瀬村(現・佐賀市)の脚気地蔵尊(脚気が治るとの霊験があるといい、木槌を奉納する。) や、東京都杉並区久我山の久我山稲荷神社にある庚申(病気平癒の霊験があるといい、を奉納する。)に木槌や砧を奉納するのは、手型、足型の奉納が変化した姿ではないかと推測する。
  33. ^ a b 今村『日本の民間医療』79頁
  34. ^ 染矢『日本の民俗 大分』140頁、『九州・沖縄の民間療法』148頁〔小玉洋美執筆〕も「手足荒神」とする。一方、(坂石要 2003, p. 46)には、「足手荒社」とある。
  35. ^ 『大分市伝統文化調査報告書 野津原地区』48頁。『岱明町史』1377頁。後者は、呼び名が、一般的な「足手荒神」ではない理由は不詳とする。
  36. ^ 現在の住所表示としては、男鹿市福川になる(男鹿市ジオパーク学習センター特設コーナーができました! - 男鹿半島・大潟ジオパーク
  37. ^ 秋田魁新報平成27年12月1日「北斗星」、同月27日「ふるさと小紀行」、
  38. ^ 『若美町の石造遺物(第二集)』
  39. ^ 水木「手足の神」、水木『水木しげるの妖怪事典』、水木『妖怪画談』。「手足の神」には「秋田県南秋田郡若美町払戸」、『水木しげるの妖怪事典』には「秋田県若美町払戸にある」、『妖怪画談』には「民俗学図録を見ていたら」「秋田県若美町払戸というところ」とある。
  40. ^ 久保田『「日本の神さま」おもしろ小事典』76頁
  41. ^ 『ムラの生活 下』379頁、『久留米市史 第5巻』409頁、427頁
  42. ^ 北緯32度50分14.5秒 東経130度37分15.1秒 / 北緯32.837361度 東経130.620861度 / 32.837361; 130.620861
  43. ^ 医王寺の庚申碑と青面金剛堂(市指定) - 八代市
  44. ^ 北緯32度26分1.5秒 東経130度34分39.5秒 / 北緯32.433750度 東経130.577639度 / 32.433750; 130.577639
  45. ^ 「八代の民俗」389-391頁、『角川日本地名大辞典 熊本』1267頁
  46. ^ 足手荒神石塔:遺跡ウォーカー、『荒尾市史』552頁
  47. ^ 『荒尾市史』552頁
  48. ^ 北緯32度12分47.6秒 東経130度24分19.4秒 / 北緯32.213222度 東経130.405389度 / 32.213222; 130.405389
  49. ^ 『新水俣市史』327頁
  50. ^ 『新水俣市史』404-405頁
  51. ^ 同社発行「大宮神社御由緒」の境内図
  52. ^ 『菊鹿町史 本編』1112頁
  53. ^ a b c d 『菊池市史 下巻』522頁
  54. ^ 焼野の足手荒神:遺跡ウォーカー、『九州・沖縄の民間療法』196頁〔林幹彦執筆〕
  55. ^ 足手荒神 - なごみ紀行 くまもと、浜名『天草伝説集』24-25頁
  56. ^ 北緯32度28分8.4秒 東経130度23分23.5秒 / 北緯32.469000度 東経130.389861度 / 32.469000; 130.389861
  57. ^ 窪『庚申信仰の研究』452頁、『九州の民間信仰』244頁〔松岡実執筆〕、『九州・沖縄の民間療法』148-149頁〔小玉洋美執筆〕
  58. ^ 熊本日日新聞 平成4年11月17日 朝刊 27頁
  59. ^ a b 『玉東町史 通史編』1202頁
  60. ^ 熊本県のメールマガジン「気になる!くまもと」 第184号関連情報サイト、『三加和町史 下巻』98頁
  61. ^ 和水町観光マップ・観光イベント - 観光情報。手足の神様の他、同町には胃の神様、命の神様、いぼの神様、性の神様、歯の神様、耳の神様、目の神様があり、「八つの神様めぐり」とされている。
  62. ^ ここを紹介した書籍に、勝瀬『九州の東の端から西の果てまで里山遠足』72-79頁
  63. ^ 『菊水町史』97頁
  64. ^ 北緯32度52分43.7秒 東経130度51分39.2秒 / 北緯32.878806度 東経130.860889度 / 32.878806; 130.860889
  65. ^ 大津町 室町、『角川日本地名大辞典 熊本』1428頁
  66. ^ 『大津町史』1131頁、『熊本県神社誌』163頁
  67. ^ 大津町 その他のイベント
  68. ^ 北緯33度7分20.8秒 東経131度4分2.5秒 / 北緯33.122444度 東経131.067361度 / 33.122444; 131.067361
  69. ^ 『小国郷土誌』153頁、『小国郷史』615頁、森田『熊本県の歴史』付録51頁
  70. ^ 『日本祭礼地図 2』300頁
  71. ^ 『産山村誌』1247頁、1254-1255頁
  72. ^ 足手荒神社 - 南阿蘇村ホームページ
  73. ^ ここについての文献に、牛島『図説日本民俗誌』91頁、今村「芥神(あくたがみ)と足手荒神」31頁、『角川日本地名大辞典 熊本』1306頁
  74. ^ 『肥後国誌 下 復刻版』584頁、今村「芥神(あくたがみ)と足手荒神」30-31頁
  75. ^ 『肥後国誌 下 復刻版』584頁
  76. ^ 『久木野村誌 第1巻』142頁
  77. ^ 熊本県文化財調査報告第21集 濱の館103頁、広報やまと平成25年2月号(第108号)12頁
  78. ^ 高塚五輪塔群:遺跡ウォーカー、『竜北村史』207-208頁、熊本県文化財調査報告第34集 五ッ穴横穴群117頁、120頁
  79. ^ 北緯33度9分40.4秒 東経131度31分34.7秒 / 北緯33.161222度 東経131.526306度 / 33.161222; 131.526306
  80. ^ 北緯33度17分5.1秒 東経131度28分35.8秒 / 北緯33.284750度 東経131.476611度 / 33.284750; 131.476611
  81. ^ 染矢『日本の民俗 大分』140頁、『九州・沖縄の民間療法』148頁〔小玉洋美執筆〕、『別府市誌』589頁
  82. ^ 『民俗行事と伝説 前津江の文化財』53頁
  83. ^ 《丸山公園》 - iナビ大分、『直入町誌』842-843頁、925-926頁
  84. ^ 『直入町誌』853頁、926頁
  85. ^ 北緯32度59分26.6秒 東経131度16分17.9秒 / 北緯32.990722度 東経131.271639度 / 32.990722; 131.271639
  86. ^ 『農村舞台探訪』216頁、『久住町誌』534-535頁
  87. ^ 北緯32度57分57.4秒 東経131度23分1.6秒 / 北緯32.965944度 東経131.383778度 / 32.965944; 131.383778
  88. ^ 『角川日本地名大辞典 大分』339-340頁、953頁、『竹田市史 下巻』346-347頁、373頁、『竹田奇聞 中編』100-101頁、大分合同新聞 昭和58年2月24日 夕刊3頁
  89. ^ a b c d e 『竹田市史 下巻』346-347頁
  90. ^ 帆足サカヱ「二日市足手荒神」『九重寿大学研究資料集 4集』6頁、大分合同新聞 平成3年7月9日 朝刊13頁、「広報ここのえ」588号18頁
  91. ^ 大分合同新聞 平成3年7月9日 朝刊13頁、『生きている民俗探訪 大分』109頁
  92. ^ 二日市足手荒神に関するその他の文献として「研究ノート 大分県の民具(二)」36頁、大分合同新聞 平成3年7月10日 朝刊13頁、『九重町誌 下巻』816-817頁
  93. ^ 柳田『分類祭祀習俗語彙』454頁、立川『病気を癒す小さな神々』298頁
  94. ^ 『願い・奉納物』148-149頁
  95. ^ 『願い・奉納物』134頁
  96. ^ 『江戸時代の民間信仰』今様願掛重宝記2頁
  97. ^ 今村『日本の民間医療』79-80頁、『日本宗教民俗図典』80-81頁、『願い・奉納物』138-139頁、岩井『暮しの中の神さん仏さん』213頁
  98. ^ 『願い・奉納物』63-63頁、立川『病気を癒す小さな神々』298頁
  99. ^ 『綜合日本民俗語彙 第1巻』25頁、民俗語彙データベース - 国立歴史民俗博物館サイト内(「アシオウサマ」で検索)
  100. ^ 立川『病気を癒す小さな神々』308頁
  101. ^ 『九州・沖縄の民間療法』196頁〔佐々木哲哉執筆〕、立川『病気を癒す小さな神々』308頁
  102. ^ 立川『病気を癒す小さな神々』297-298頁
  103. ^ 『願い・奉納物』168-169頁
  104. ^ 『九州・沖縄の民間療法』196頁〔佐々木哲哉執筆〕、岩井『暮しの中の神さん仏さん』214頁
  105. ^ 篠栗四国八十八箇所霊場第七十一番札所


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