戦闘用ナイフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 14:58 UTC 版)
武器としての使用を主眼においたナイフ。銃の普及以前は重要な武器であったが、現代では兵士にとっては銃火器のほうがはるかに強力で重要で、武器としてのナイフの位置づけは低下している。 歴史上の戦士たちは戦闘用ナイフを携帯しており、組み付いての超近接戦闘に用いていた。日本では武士達は太刀や打刀の他に脇差や短刀を持ち、格闘戦の際などに多様に用いていた。西洋では刺突能力を強化するために両刃であることが多いが、日本では基本的に片刃である。ネパール山岳民族のグルカ兵は作業・戦闘兼用のナイフとして、独特の刃が内側に曲がった「ククリ」を携行し、その殺傷力の高さは使い手の勇猛さとあいまって恐れられている。実用品としてのナイフには暗器(=隠し持つ武器)としての性格があり、コンパクトに折りたたんで収納するものもある。 現代社会では多くの国で民間人は武器を携行することは違法とされており(また一部の認められる国でも、軍人でもないのにそれを所有していると、人命を軽視していると判断され嫌悪されるので)戦闘用ナイフは軍人以外では、コレクターが自宅に保有し鑑賞しているにとどまる。 なお、“ナイフを投げる”(投げナイフ)という戦闘方法は、火器の発達した近代軍隊においては実用的な戦闘方法としては現実的ではなく、白兵戦における非常手段として以上のものとして扱われていることは通常ない。“ナイフ投げ”を訓練に採り入れている軍隊でも、ナイフの取り扱いに習熟するための技法としてのもの以上に位置づけられている例はない。冷戦期にはソビエトの特殊部隊であるスペツナズの装備として、柄に内蔵されたバネの力で刀身を射出することのできる特殊なナイフがある、とされており、これは欧米では「スペツナズ・ナイフ」の名で呼ばれ、“実物である”もしくは“実物を模倣した”との触れ込みで各種の製品が販売されていたが、ソビエト崩壊後の情報公開の結果としては「ナイフ形の特殊消音拳銃の誤認であった」という結論となっている。
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