戦略核戦力部隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 09:49 UTC 版)
インドは1974年に平和的核爆発を理由とした核実験を実施。1998年には軍事目的の核実験を行い、公然たる核兵器保有国となった。その直後に、対立するパキスタンも核実験を実施。中華人民共和国は既に1960年代から核兵器を配備していた。 インドは「核による先制攻撃と非核保有国に対する使用は行わない」との方針を定めており、核兵器の保有はあくまで「核保有国に対する抑止目的」であるとしている。ただし、インドの国防・外交・情報機関の幹部は個人的意見としてか退職後であるが、核の先制使用も選択肢であるとする見解を度々表明している。 インド軍は多様な核兵器運搬手段を保有・開発している。短距離弾道ミサイル(SRBM)「プリットヴィー」「アグニⅠ」、準中距離弾道ミサイル(MRBM)「アグニⅡ」、中距離弾道ミサイル(IRBM)「アグニⅢ」「アグニⅣ」、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「アグニV」や、「シャウルヤ」といった弾道ミサイルや、巡航ミサイルを実戦配備または実験中である。さらに、Su-30MKI、ミラージュ2000、MIG-29、テジャスといった戦闘爆撃機が核爆弾を搭載できる。 2010年には原子力潜水艦「アリハント」が完成し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の運用も開始された。また2012年には、陸軍が中華人民共和国の全土などを射程に収めるICBM「アグニV」の発射実験に成功した。これにより、インド軍はICBM、SLBM、爆撃機からなる「核の三本柱」を限定的ながら完成させたことになる。しかし戦略爆撃機をベースにした対潜哨戒機Tu-142が2017年に退役し、1999年に4機をリースすると発表されたTu-22M3 も未だ実現していないため、現在は戦略爆撃機を欠いている。 インドは軍の戦略上、先制核攻撃を行わない事を旨としているため、敵国の先制核攻撃に対抗するためのミサイル防衛システムの開発も進めている。
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