懐中時計の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 17:59 UTC 版)
戦後以降、一般的には、利便性のより高い腕時計に携帯時計市場をほぼ独占されてはいるものの(日本ではその腕時計さえ、昨今は携帯電話の時計機能に脅かされている)、その一方、現在でも世界中で製造されており、世界の、特に欧州の時計生産大国であるスイスでは、小さな工房での手作り懐中時計産業も健在である。バーゼル地方で開かれる世界的な時計市、バーゼル・フェアには、今なお世界の懐中時計商が集っている。 外装の材質は真鍮やステンレスなどの金属製のものが多いが、金製や銀製といった貴金属を使用したものやまた蓋や裏蓋に彫刻がされているなど装飾品としての価値があるものもある。 懐中時計はその歴史が古いためアンティーク品(おおむね戦前以前の品)や古くからの有名時計ブランドの高級品、その他ムーブメントや彫刻を楽しむ等々、懐中時計のコレクション(蒐集・鑑賞)を趣味としている者も世界中に数多く居る。 また「ポケットウォッチスタンド」という懐中時計を置時計として使用するための専用スタンドも100年以上前から存在し(イギリスの老舗・ラポートは100年以上前から高級ポケットウォッチスタンドを販売している)、高級な懐中時計は置時計として使用することも古くから行われてきた。 今日に至っては腕時計の圧倒的なシェアや、携帯電話画面の時計表示にて代用する人も一部で徐々に広がりつつあることから、懐中時計を日常の携帯時計として使用している人口は極めて少ない(時計を読もうとするだけで片手が塞がる)。反面、バンドかぶれなど金属アレルギー体質や皮膚病のため腕時計どころか装身具さえ着けられない人、閉所恐怖症による締め付け感に悩む人、携帯電話を所持しない人、各種の業界関係者(下記参照)、懐古主義(アナクロニズム)の人、鉄道マニア等の中にはあえて懐中時計を日常で愛用している人も少なからず存在し、意外なところでは将棋の棋士が和服と合うので愛用している(将棋の渡辺くん一巻より)。 また、腕時計の時計部分を取り外して、懐中時計のように扱う事ができるようになる時計ホルダーといった製品もある。
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