慈恵ハート研究(JHS,慈恵医科大学)
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日本人の高血圧・心不全患者患者3,081例(21施設)を対象に、現行治療+バルサルタン群(V群。漸増投与。12~16週間後より非ARB薬の追加も可)とARB以外の降圧薬治療群(S群。降圧薬の増量可、標準降圧治療薬の追加可)に振り分け、PROBE法にて3.1年(中央値)追跡調査した。主要評価項目は心血管死+心血管合併症(脳卒中・一過性脳虚血発作[TIA]による入院;心筋梗塞[MI];鬱血性心不全による入院;狭心症による入院;大動脈瘤解離;血清クレアチニン値の倍化;透析への移行)であった。 血圧の推移は(ベースライン時→試験終了時)、V群:139.2/81.4→132.0/76.7mmHg,S群:138.8/81.4→132.0/76.6mmHgと両群に違いは見られなかったが、主要評価項目はV群:92例(6.0%);21.3例/1000人・年、S群:149例(9.7%);34.5例/1000人・年であり、ハザード比[HR]0.61;95%信頼区間[CI]0.47~0.79,p=0.0002でV群で有意に低下した。主要評価項目の内、両群で有意差が付いた項目は脳卒中、狭心症、心不全、解離性大動脈瘤であり、総死亡率、心血管死、心筋梗塞、腎疾患増悪については有意差は認められなかった。これらの内、狭心症の新規発症は65%低減しているが、その理由は不明とされた。
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慈恵ハート研究
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論文発表の5年後、同論文の血圧測定値についての疑義が表明された。試験開始前後における血圧の平均値と標準偏差がV群とS群で“偶然には有りえない不自然な一致が見られる”事に対する疑念であった。調査の結果、解析用データと大学保有のデータの間で収縮期血圧値に86件(12.8%)の不一致が見つかった。解析用データでは収縮期血圧が130mmHgに近付くように増減されていた。また、解離性大動脈瘤を除き、ハードな評価項目では差が付かず、ソフトな評価項目で大きな差が生じた事は、同研究がPROBE法に基づいて実施された点も踏まえると、V群を勝たせたいという企業への忖度が大きく影響した可能性が指摘されている。東京慈恵会医科大学による調査の結果、報告医の1人において評価イベントの報告数に極端な偏りが見られた。同医師からのイベント報告数は、V群では93件(9.6%)であるのに対し、S群では174件(51.7%)と過半分を占めるものであった。同医師を除く参加医師からのイベント報告数は、V群84件に対しS群84件であり、両群のイベント数に差はなく、この結果からは論文の結論は導けない。
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