ツツガムシ
ダニの仲間。幼虫は人に対し刺咬、吸血することによって害を与える他、「ツツガムシ病」の原因となる細菌(リケッチア)を媒介する。
ツツガムシの幼虫の中には体内にリケッチアを持つものと持たないものがあり、菌を持つ「有毒ツツガムシ」と、菌を持たない「無毒ツツガムシ」に呼び分けることもある。
ツツガムシによってもたらされるツツガムシ病は、現在は適切に処置すれば大事に至ることはないが、かつては死亡率も高い危険な疫病として恐れられた。
2011年3月に発生した東日本大震災では、4月に入り春のツツガムシ病のシーズンを迎えることから、感染予防が呼びかけられている。
関連サイト:
被災地におけるつつが虫病について - 国立感染症研究所 ウイルス第一部・感染症情報センター 4月1日現在
つつが‐むし【×恙虫】
読み方:つつがむし
ダニ目ツツガムシ科のケダニの総称。成虫は体長1〜2ミリ、体表に多数の毛が生えている。幼虫は野ネズミに寄生し、時に人間を吸血して恙虫病を媒介する。アカツツガムシ・タテツツガムシなどがある。ようちゅう。
よう‐ちゅう〔ヤウ‐〕【×恙虫】
読み方:ようちゅう
ツツガムシ
(恙虫 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/06 00:33 UTC 版)
ツツガムシ | ||||||||||||||||||
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ツツガムシ科の若虫
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分類 | ||||||||||||||||||
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1.卵
2.幼虫
3.ニンフ
4.成虫
ツツガムシ(恙虫)は、ダニ目ツツガムシ科のダニの総称。ツツガムシ科に属するダニ類は日本では約100種が報告されている。
分布
形態
成虫は赤色、幼虫はオレンジ色をしている。体長は0.2〜0.3mm
生態
幼虫は野鼠の耳に寄生していることが多い。幼虫は脊椎動物寄生性で孵化後、生涯に一度だけ哺乳類などの皮膚に吸着して組織液、皮膚組織の崩壊物などを吸収する。十分摂食して脱落、脱皮した後の第一若虫、第二若虫および成虫には脊椎動物への寄生性はなく、昆虫の卵などを食べる。動物の体液を吸引する際は、酪酸などの低級脂肪酸には反応せず二酸化炭素で動物の接近を検知している[1]。
ツツガムシ病
0.1% から 3% の個体が経卵感染によってツツガムシ病リケッチアを保菌しており、これに吸着されるとツツガムシ病に感染する。保有するリケッチアの血清型は、種との関連性があることが知られ、タテツツガムシはKawasakiまたはKuroki型、アカツツガムシはKato型、フトゲツツガムシはKarpまたはGilliam型を保有している。日本では、感染症法に基きツツガムシ病の症例を集計している。2009年の症例458件死亡例3件[2]。
「つつがない」の由来
手紙の冒頭などで常套句として使われたり、唱歌『故郷』の一節にある「無事である」という意味の「つつがなし(恙無し)」が、「ツツガムシがいない」という意味から来ているとする説があるが誤りである[3]。「恙」(つつが)はもともと病のことであり、それがない状態を指す言葉として「つつがなし」という形容詞が生まれたが、その用例は9世紀にはあったことがわかっている[3]。「恙虫」(つつがむし)も病気を引き起こす虫を意味するが、それが判明したのは19世紀のことであり虫の名前が「つつがなし」の語源になったということはない[3]。
妖怪としてのツツガムシ
石見国(島根県西部)に夜な夜な民家に入り込んでは寝ている住人の生き血を吸う「ツツガ」という虫がいた。のちに陰陽博士により退治された。
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「絵本百物語」に描かれた恙虫
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ツツガムシに噛まれた症状
脚注
- ^ 佐々学、私共のダニ類研究の回顧 日本ダニ学会誌 第1回日本ダニ学会大会講演要旨(補足) 1993年 2巻 2号 p.99-109, doi:10.2300/acari.2.99
- ^ The Topic of This Month Vol.31 No.5(No.363)(国立感染症研究所感染症情報センター)
- ^ a b c “つつがなしや(研究ジャーナル25巻2号)”. 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会. 2021年5月16日閲覧。
関連項目
外部リンク
- つつがない・つつがなく - 語源由来辞典
- 『つつが虫病』 - 日本感染症学会と感染症シリーズ映画製作委員会の企画の下でヨネ・プロダクションが制作した短編映画。『科学映像館』より
恙虫(つつがむし)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 19:07 UTC 版)
「ほうかご百物語」の記事における「恙虫(つつがむし)」の解説
昆虫型の吸血妖怪。丸い体には黒い甲羅と無数の足、そして一対の牙がある。群れで人の血を吸い、本人に気づかれない位しか吸わない。大きさは野球のグローブ程度。
※この「恙虫(つつがむし)」の解説は、「ほうかご百物語」の解説の一部です。
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