思想・学問
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/11 17:11 UTC 版)
「グレーアム・ウォーラス」の記事における「思想・学問」の解説
ウォーラスの最初の研究は、イギリス労働運動の立役者であるフランシス・プレースを扱っていた。労働階級の科学的研究の先駆として、レズリー・スティーヴンやマーク・ホーヴェル、ハモンド夫妻などの研究に影響を与えた。教育行政や政治の実際を経験したことは、ウォーラスの政治学の著作にさまざまな例証を与えた。さらに講座における教授活動は、ウィリアム・ジェームズの心理学が更新しつつあった教育理論にも目を開かせることになった。その理論においては、人間の本能的衝動はもはや刑罰の対象ではなく、「教育」によって陶冶されるべき事実であった。そこから「人間性」は「制度」によって変化させられる、という認識が生まれ、人間性を制度から離して考察する従来の政治制度論の欠陥に気づくことになる。新しい心理学による発見の上に政治学を打ち立てるべきである、とウォーラスは考えた。 固定された人間性を否定した以上、主知主義的な政治学のアプローチにも批判のメスが入る。人間は利害や計算によってのみ行動するのではなく、本能や衝動によっても動かされるのであり、その結果は集団が大きくなるほど予見しがたくなる。ウォーラスは代議制民主主義にとって躓きの石となりそうな要素、たとえば大衆心理、広告、官僚などを指摘し、政治をより複雑な現象として示した。ウォーラスは「市会にではなく市会議員に興味をもっている」のであり、彼にとって政治学は人間性の探求である。
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