微小解剖学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 10:09 UTC 版)
ヒトの脳は主として神経細胞、グリア細胞、神経幹細胞、血管で構成される。神経細胞の分類としては、介在ニューロン(英語版)、ベッツ細胞(英語版)などの錐体細胞、運動ニューロン(上位運動ニューロンと下位運動ニューロン)、小脳のプルキンエ細胞といったものがある。ベッツ細胞は(細胞体のサイズでみると)神経系で最大の細部である。成人したヒトの脳には860±80億個の神経細胞があり、また神経細胞でない細胞もほぼ同数(850±100億個)あると考えられている 。神経細胞のうち、160億個 (19%) が大脳皮質にあり、690億個 (80%) が小脳にある。 グリア細胞の分類としては、アストロサイト(例えばバーグマングリア細胞)、オリゴデンドロサイト、上衣細胞(例えばタニサイト)、放射状グリア細胞、小膠細胞、オリゴデンドロサイト前駆細胞の亜型がある。アストロサイトはグリア細胞の中では最大の細胞であり、細胞体から放射状に多くの突起を伸ばした星細胞(英語版)である。それらの突起は、先端が毛細血管を取り囲むようになっているものもある。皮質のグリア境界膜(英語版)はアストロサイトの突起で構成され、脳の形を細胞の塊として保持する役割も果たす。 肥満細胞は脳の神経免疫系(英語版)で相互作用を行なう白血球である。中枢神経系の肥満細胞は髄膜をはじめ多くの部位に存在し、炎症が起こった際に神経免疫反応を取り持ち、血液脳関門の維持を助けると共に、特に血液脳関門が無い脳部位において働く。肥満細胞は中枢神経系と体内の他の部位で同様の多岐にわたる役割を果たし、例えばアレルギー反応の作用と統制、先天性免疫(英語版)と適応免疫、自己免疫、炎症への対処が挙げられる。肥満細胞は主たるエフェクター細胞(英語版)として働き、これを介して病原体は消化管と中枢神経系との間で交わされる生化学的シグナルのやりとりへ影響を及ぼすことになる。 約400の遺伝子が脳に限局して働くものと分かっている。全ての神経細胞でELAVL3が発現しており、錐体細胞ではNRGNとREEP2も発現している。神経伝達物質GABAの生合成に欠かせないGAD1は介在ニューロンで発現している。グリア細胞で発現する蛋白質としては、アストロサイト・マーカーのGFAPとS100Bがある。ミエリン塩基性蛋白、転写因子のOLIG2はオリゴデンドロサイトで発現する。
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