形状と出現環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 06:54 UTC 版)
形状は殊に多様である。まっすぐなものもあれば、糸や羽根などに例えられるように曲がったものもある。また変化が速く、刻々と形を変えることがある。 白いすじが不規則に曲がっていたり(毛状雲)、頭の部分が鉤型に反り返っていたり(鉤状雲)、綿状のかたまりになっていたり(房状雲)と、バリエーションがある。まっすぐに長く伸びたものは英語で"mare's tails"(牝馬の尾。訳語として「馬尾雲」を充てることがある)と呼ばれる。 上空は水蒸気量が少ないため多くは厚みの乏しい薄い雲である。しかし、厚みを持ち布切れのような形をした種もある(濃密雲)。 強風の時や風に乱れのある時にみられるのが、糸がもつれたような形のもつれ雲。一方、魚の骨あるいは肋骨のように、太い直線の雲の両側に直角に細い雲が並ぶのが肋骨雲である。肋骨雲は、雨が降る前に現れる場合もあるが、反対に雨の後に現れて消えていく場合もある。 たまに巻雲から水が落ちることもある(尾流雲)。 もくもくと発達した積乱雲の雲頂から生じる巻雲もある。なお、最盛期を迎えた積乱雲は雲頂が毛羽立ち、すじ状や毛状の巻雲が付随するが、これを多毛雲と呼ぶ。 対流圏の上部に発生し、氷の粒(氷晶)でできている。鉤状雲や房状雲にみられる尾を引いたように見える雲は、地上からは同じ高さに見えるが、氷晶が落下しながら蒸発することでできる。尾が長く伸びることがあり、上空で高さにより風速が異なると尾が曲がって見える。上空の湿度が高いときは飛行機雲の氷晶が周りの水蒸気を集めて成長し、巻雲になることがある。このとき、飛行機のエンジンの排気に含まれる塵が凝結核や氷晶核となることで、さらなる成長を引き起こすことも多い。 雲ができる高度は、高緯度地域では3〜8km、日本を含む中緯度地域で5〜13km、低緯度地域では6〜18km付近であるが、上層雲の中では最も高い高度に出現することが多い雲である。 中緯度地方では特に春や秋に多く見られる。ただし、頻度は違うが一年中見られる雲である。
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