形状とスタイルの変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/10/05 02:51 UTC 版)
手すり子は主に回転体の形状であり、木工や陶芸などのデザインを踏襲した傾向が見られる。木工や陶芸では古くから旋盤や轆轤で材料を回転させて作っていたため、回転体が容易に形成できた。手すり子の形状は建築や家具の様式の判定に役立ち、大雑把な年代の推定にも役立つ。マニエリスムの複雑な形状の手すり子は花瓶状の形状を重ねたものと解釈できる。バロック様式のいかり肩で太くリズミカルな形状の手すり子は、新古典主義の簡素な手すり子とは明らかに異なり、後者はギリシアのアンフォラにも似ている。イギリスやオランダの17世紀の家具では、オーク材やウォールナット材でできた独特のねじれたデザインが使われており、その原型はベルニーニが賞賛した Solomonic column である。しかし、このデザインは1710年代までに廃れた。 旋盤で作られた木製の手すり子は、縦に割って建築物や家具の表面に貼り付けて装飾に使われることもあった。例えば、イタリアやスペインや北欧で16世紀から17世紀にかけて作られた飾り棚がある。 ヨーロッパ以外では、手すり子は比較的新しいモチーフとしてムガル建築に現れ、シャー・ジャハーンの関わった17世紀前半の2つの城塞、アーグラ城塞とデリー城に見られる。葉形飾りのある手すり子は Ebba Koch によればそれまでのインド・イスラーム建築にはない装飾で、18世紀から19世紀の中央および北インドで広く見られるようになった 。 手すり子は、四角い底面の寸法のぶんだけ離して並べるのが一般的である。ただし、本数を減らすために手すり子同士の間隔を開けすぎると見た目がよくない。欄干の端は大きな親柱や建物の壁に繋がっており、そうしないと手すり子だけでは強度が保てない。 手すり子の製作方法はいくつかある。木や石の場合は旋盤を使うが、コンクリートや漆喰、鉄、プラスチックなどは型に流し込んで形成する。
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