強化された表現機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 01:03 UTC 版)
「X1 (コンピュータ)」の記事における「強化された表現機能」の解説
従来デジタル8色の出力のみであった表示機能が強化され、4096色同時表示可能なグラフィック機能とアナログRGBパレット(コネクタはD-Sub15ピン)、ハードウェアスクロール、ビデオキャプチャやモザイク機能などを追加した。但し、他の機種がVRAMの制御に専用のコントローラやサブプロセッサによる描画のサポートをさせたり、ALUなどによってVRAMへのアクセス処理そのものの軽減を周辺チップによってはかったのに対し、turboZでもそれらの仕組みは導入されなかった。そのため、多色描画が可能である反面、4096色モードでは1ピクセルの描画に実に12回ものアクセスが必要という処理量の増加が見られた。デジタイズされた画像の表示など用途によっては表現力の向上があったものの、動きを要するような処理には多色モードは利用しにくかった。 サウンドはオプションであったステレオ8チャンネルのFM音源であるYM2151を標準搭載。入力クロックはチップ規定の値ではなくCPUクロックと同じ4MHzが使われているため、チップの本来の設計とは若干異なる波形を生成する。従来機種では内蔵音源であるPSGとのミキシングがサポートされていなかったが、本機で内蔵されることにより、標準状態でミキシングされた出力を得られるようになった。 また、マウスが標準装備となっている。X1turboZIIおよびZIIIでは、CRTCが上位互換のMB89321Bに変更されている。 X1turboZII以降にはZ-BASICが標準添付され(X1turboZでは別売)、これらの機能はBASICからも利用が可能になっていた。 turboZシリーズに標準搭載されたFM音源やアナログRGBは後発だっただけに、いくつかの点で競合する他機種よりカタログスペック上は優れていた。しかし、こうしたAV機能の進化が他機種に比べて遅れ気味だったこと、CPUクロックが据え置きであり処理を軽減する仕組みが導入されなかったこと等により、その機能をフルに使った専用アプリケーションはほぼ発売されなかった。また他機種より優れていたがゆえに互換性が低い問題があった。これはソフトウェア移植の障害となり、移植されてもそれらの機能が十分活用されないことにもなった。オプションだった機能を引き継いだFM音源はYs2の様に左右に音を振るなどのステレオ対応がされたほか、後期のソフトウェアでパッケージやマニュアルに記載されていないものの、非公式でturboZシリーズで実行した際はアナログパレットを使用するユーフォリーなどのソフトウェアはあったものの、機能の活用は限定的であった。 こうしてX1がturboZとなりいかに機能改善を図ろうとも、X68000の圧倒的性能の前には存在感が霞んでしまい、X1turboZ専用ソフトはほとんど発売されないまま、X1シリーズの流れはX68000シリーズへ継承されていった。
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