官民間のリスク分担
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 14:37 UTC 版)
PFI事業の数が増えてくると問題を生み出す事業も増えてくる。福岡市の温浴施設(タラソ福岡)では、運営が破綻する事象が生じた際に、市と金融機関が直接契約を締結していたにもかかわらず、金融機関によるステップインが実行されなかった。これは事業が悪化しても融資回収に影響を与えないノーリスク融資であったことが原因と考えられる。このような形で民間資金を利用することは、公債による資金調達コストよりも民間資金調達コストが高い分だけ税金の無駄遣いであるという批判につながる。また、前述のスポパーク松森では地震を原因としたリスク分析が十分ではなく、リスクを原因としたあらゆる事故の責任が民間に移転されていなかった。 このような問題から、PFI事業における民間へのリスク移転が検討され始めている。たとえば刑務所の2号案件である「島根あさひ社会復帰促進センター」整備事業では、施設外の逃走事故が発生すると支払いが減額される。しかしながら、このような施設整備対象外のエリアでのリスク移転まですることが適切であるかどうかは疑わしい。公共が民間に移転したいリスクを移転するという観点での条件設定をすることは適切ではなく、民間にリスクを移転することでバリューが生み出されるかどうかを基準にしてリスク配分する必要がある。事業リスクの官民の適切な配分が今後の日本のPFIの検討課題であると思われる。 また金利についての問題もある。PFI事業は10年以上にわたる長期での計画を設定し入札を行う。そのため入札後は事業が設定された期間の金利を税金で払い続けることになる。金融系の民間企業へ長期にわたり金利という形で税金を投入するための施策とも言われている。 2007年10月13日に開所された3例目となる栃木県さくら市の「喜連川(きつれがわ)社会復帰促進センター」は「半官半民刑務所」「民活(「PFI=民間資金活用による社会資本整備」を略した)刑務所」と報道されている。
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