官民の衝突、死傷者、候補者逮捕未遂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 23:29 UTC 版)
「第2回衆議院議員総選挙」の記事における「官民の衝突、死傷者、候補者逮捕未遂」の解説
各地で民党候補及び支持者と警察との衝突が発生し、自由党が強い高知県で政府公式発表で死者10名・負傷者66名という流血の惨事が発生した他、全国で25名の死者を出した。 高知県 死者10名 負傷者66名 知事:調所広丈(薩摩藩出身) 佐賀県 死者8名 負傷者92名 知事:樺山資雄(薩摩藩出身) 福岡県 死者3名 負傷者65名 知事:安場保和(肥後藩出身) 千葉県 死者2名 負傷者40名 知事:藤島正健(肥後藩出身) 熊本県 死者2名 負傷者39名 知事:松平正直(越前藩出身) 大規模な死傷者が出た府県の知事には薩摩藩あるいは隣国でつながりが深い肥後藩出身者が多く、薩摩出身の松方首相を支持し、地元県会では民党議員と激しく対立していた。こうした地元の事情が実力行使を伴う干渉を引き起こす一因となった。ただし、知事の出身などの属性では説明がつかないという批判もある。実際、高知県知事調所広丈は「暴走」した知事として描かれてきたが、実際には「難治県」高知に手を焼き、何度も首相に任地替えを懇願していたし、佐賀県の樺山資雄も内閣交代後ではあるが、選挙干渉には批判的だったことを内相に伝えている。 高知と佐賀では死傷者が多く出ただけでなく、警察が林有造(高知2区)と松田正久(佐賀1区)という自由党有力議員に対して投票日以降も逮捕を狙った。二人とも難を逃れて無事であったが、これは投票日後の逮捕によって、当選した場合でも議会に出席できないことを狙ったものであり、第1議会で森時之助が不逮捕特権を適用されず一度も出席することなく辞職した前例を踏まえたものであった。しかも、佐賀では内務省の大浦兼武が、文部大臣大木喬任の意を受けて選挙工作に従事していた司法人脈の中村純九郎と古賀廉造を通して佐賀出身の高木秀臣東京控訴院検事長に松田拘引を働きかけた。結局、司法省が干渉に消極的で拘引は認められなかった。
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