宗教と芸術における象徴性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 03:34 UTC 版)
「フルール・ド・リス」の記事における「宗教と芸術における象徴性」の解説
中世、ユリの図像とフルール・ド・リスは、宗教芸術の分野では重なる部分が多い。歴史家のミシェル・パストローによれば、1300年頃までユリはイエス・キリストを象徴していたが、次第に聖母マリアのシンボルへと変化して、マリアに言及したソロモンの雅歌「lilium inter spinas」(いばらのユリ)と関連付けられるようになった。他の聖句や宗教文学の中でユリが純潔と貞節を象徴するとされたことも、この花が図像学上、聖母マリアのアトリビュートとして確立されるのを助けた。 中世イングランドでは12世紀中頃から、貴婦人の印章にフルール・ド・リスと女性の像がしばしば見られるようになった。これは聖母マリアを暗示し、「女性の純潔と崇高」を表す。花を携えた聖母マリアの像が最初に現れたのは11世紀、彼女に捧げられた大聖堂が発行したコインの模様である。次いで1146年、ノートルダム大聖堂を皮切りに、大聖堂の司教座聖堂参事会の印章に現れている。通常の描写では、聖母マリアは右手に花を持っている。ノートルダム大聖堂の聖母像はユリを手にしており、大聖堂中央入り口の上、バラ窓のステンドグラス中央にフルール・ド・リスの笏を持つ聖母が見られる。花は「シンプルな花型(fleurons)、あるいは園芸用のユリ、あるいはフルール・ド・リスの紋章」の場合もある。それらの花は聖母マリアの象徴として、しばしば受胎告知の絵に現れる。ボッティチェッリやフィリッポ・リッピなどの絵が有名である。リッピはまた両方の花を違った関係(「森の聖母」(Madonna in the Forest))でも描いている。 紋章の3枚の花びらの意匠は、三位一体との広範囲にわたる関わりを反映している。この考え方は14世紀フランスまで遡り、信頼、知恵、騎士道精神を表すという初期の考え方に付加された。 「光の花」の象徴は時折、「fleur-de-luce」の古語から来たと理解される。ラテン語の「lux, luc-」は「光」を意味するためである。しかしオックスフォード英語辞典は、これが語源からではなく、綴りから生じたことを示唆している。
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