孤独死・セルフネグレクト問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 04:18 UTC 版)
「横尾将臣」の記事における「孤独死・セルフネグレクト問題」の解説
横尾は孤独死の現場を数多く手掛けるうちに、「孤独死のほとんどは、亡くならなくてもいい人が亡くなっている」と感じるようになり、心身ともに苦痛を抱えて追い込まれながら生きている人が眼前にいても、近隣でそのSOSを察知するコミュニティがないことに危機感を感じるようになる。横尾によれば、孤独死や「ゴミ屋敷」で暮らしていた多くの人は、程度の差こそあれ自分自身の生活や行動を管理できない状態に陥った「セルフネグレクト(自己放任)」である点で共通しているが、その8割はSOSを察知することで未然に防げたはずという。横尾は、家で孤独死してもいいと思うが孤立はだめ。『見つけてあげる』という支え方が必要と発言している。2020年には「孤独死させない」ではなく「孤立させない」高齢者が地域の人と交流できる工夫など地域包括システムが必要と訴えている。また、孤独死を防止したり長生きさるためには、介護や福祉に関わり、高齢者が健全な生活を続けるために住環境を整える「福祉整理」が必要であることに気付き、生活が荒れ始めた段階で誰かが手を差し伸べることで救えた命があったはずと「福祉整理」の重要性を各地で講演するようになった。「福祉整理」は、施設入居や入院に伴う家財整理・撤去、自宅介護のための不用品整理、認知症の人の住環境整理、自分で片付けができない人のための定期的なハウスクリーニングなどを言い、高齢化社会の中で確実に需要を拡大しつつあるという。整理の順序や方法に関して、横尾は親が過ごす部屋から取り組みたくなるが、本人が不自由さを感じていなければ抵抗されやすい。使っていない部屋から始め、空いた場所に動線や生活スペースにあるものを移し、残す方法を提案することで理解を得やすい。捨てるかどうかの基準は「迷ったら残す」が基本だが、今必要かどうかが重要で、まだ使えるかどうかで判断すべきではないとしている。 著書の中で横尾は「葬儀は肉体的な別れ、遺品整理は精神的な別れ」と発言している。 2020年には、「住み慣れた部屋でコロッと死ねる孤独死は理想的な死に方だ」「一人暮らしが多数を占める社会で、部屋で亡くなっただけで“孤独死”だとか”事故物件”だとか表現するマインドがおかしい。人が家で死んで悪いことはない。悪いのは発見が遅れることであり、周囲の責任である」「72時間以内に発見されれば、孤立していなかったのであり『幸独死』だ」と発言し、72時間以内に発見できる地域を目指す『72時時間プロジェクト』を広めるため、全国で講演している。
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