女性の処女性を重視するという考え
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/06 17:25 UTC 版)
「配偶者防衛」の記事における「女性の処女性を重視するという考え」の解説
進化心理学や社会生物学の視点では、婚姻もしくは交尾の際に女性の処女性を重視するという考えは、雌(女性)が他の雄(男性)と配偶しないように阻止するという行動を配偶者防衛という本能で説明している 。配偶者防衛は、雄が子の父性を確実にするために行うと考えられており、多数の種の動物に見られる行動である。これは雌(女性)が出産するという繁殖のシステム上どうしても父側の遺伝子については明確にはならない事が発端となっており、父性の確実さを求めることは、ヒトの場合は特に男性が子の生育に対して多大な投資を行う際に強くなると考えられている。 ヒトの配偶者防衛として考えられているものには、婚姻時の処女性の重視のほかに、北アフリカを中心に行われる女子割礼や、インドやイスラム世界などで今もみられる女性の行動を制限したり、他の男性に会わないようにさせたりする風習、アラブ世界の女性のベールや中国の纏足などもある。これら女性の行動をコントロールするような風習がある社会では、強い父系と父方住居の文化を持ち、女性の生活は配偶者の男性に完全に依存している。つまり、男性の子に対する投資が大きい社会であり、そのために配偶者防衛が色濃く現れていると考えられる 。 富の蓄積などにより、男性が生存と生殖に必要な資源を握っている場合、男性は自分の資源を確実に自分の子のみに使わるようにするため、配偶者防衛を厳しく行う。だが、同じ社会でも富の蓄積のない下層階級はそのような配偶者防衛はあまりみられない。狩猟採集社会や、現代の先進国のように女性が独立した生活手段を比較的獲得しやすい社会でも、男性の配偶者防衛はあまり強くなく、婚姻の条件としては、年齢が近く、話があい、性格があうというような「同類交配」を好む傾向がある。富の蓄積の可能な農耕と牧畜の発達は、1万年くらい前からであり、配偶者防衛による女性の行動をコントロールしようとする傾向が、遺伝的変化を起こしたせいなのか、世代間の学習によるものか、いまのところどちらともいえない。
※この「女性の処女性を重視するという考え」の解説は、「配偶者防衛」の解説の一部です。
「女性の処女性を重視するという考え」を含む「配偶者防衛」の記事については、「配偶者防衛」の概要を参照ください。
- 女性の処女性を重視するという考えのページへのリンク