大量生産の弊害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:51 UTC 版)
103系は長期間にわたり大量に製造されたことから、試作後20年を経過した1980年代後半より、アコモデーション面での見劣り、オイルショック以後の省エネ施策の未対応、スピードアップ要求に対応出来ないほか、乗り心地面など様々な面が指摘されるようになる。103系と同時期に設計された国鉄車両も同様な問題点があったが、例えば101系が南武支線の6両を除いて1992年までには置きかえられた反面、103系は最終増備車が1984年(昭和59年)製であることから、21世紀に入っても大量に残った。初期に製造された車両を少量数しか承継せず、比較的早い時期に近郊形電車で置き換えが可能だったJR東海は別にして、103系と同時期に製造され続け、103系同様に陳腐化した113系や115系電車を大量に抱えるJR東日本やJR西日本では置き換えのペースが遅く、新製車両との格差が広がる結果となった。 通常の大量生産される輸送機器では同一の製品を20年以上もそのまま作り続けることは、日本では例がない。例えばスーパーカブのように基本設計の完成度が高く、登場時点で既に21世紀の製品にも劣らない信頼性を有していたものであっても、オイルショック以降の環境・安全面での要請の高まりに対応して大幅な改良が加えられた。しかし、103系電車は試作車落成後20年以上も製造が続けられ、目立った改良は1974年以降の生産分の先頭車両がATCに対応した高運転台タイプに改められた程度で、1980年代に205系が登場するまで新世代の通勤車両は103系を置き換えなかった。これらは下記のような理由によるものである。
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