大口径機関銃を用いた長距離射撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 14:23 UTC 版)
「対物ライフル」の記事における「大口径機関銃を用いた長距離射撃」の解説
また、対戦車ライフルと同様の大口径・強装薬な弾薬を用いる重機関銃や機関砲は、その弾薬の強大な反動を本体の多大な重量が相殺してしまうため、優れた威力と射程と命中精度を持ち、単射での超長距離狙撃にも有効であった。このことは経験的に知られており、独ソ戦や朝鮮戦争やベトナム戦争において、現場兵士の即興で対人・対物狙撃用として使用した例が見られた。 ベトナム戦争中の1967年、アメリカ海兵隊員のカルロス・ハスコックは、重機関銃を用いて当時の狙撃距離の世界記録を塗り替えた。ハスコックが使用したのは、M3三脚に据え付け、土嚢で安定させ、Unertl 8Xスコープを取り付けたブローニングM2重機関銃(.50 BMG)だった。標的は2,500 yd (2,286 m)先にいた自転車に乗ったベトコンで、最初の射撃で自転車を破壊し、2発目の射撃でベトコンの胸を撃ち抜いた。 フォークランド紛争においてロングドン山を防衛していたアルゼンチン軍B中隊は、狙撃兵による狙撃のほかブローニングM2重機関銃による長距離掃射を行い、イギリス軍は同じように機関銃で応射したり、ミラン対戦車ミサイルを撃ち込んで陣地ごと排除したり、手りゅう弾による肉薄攻撃という対抗策を採り、多大な犠牲を払いながら作戦を遂行した。 なおこのフォークランド紛争での重機関銃による射撃を、通常の射撃ではなく「単発狙撃」であったとする記述が、一部の和文文献には見受けられる(例えば)。しかしフォークランド紛争、狙撃銃、狙撃手、対物ライフルなどに関する英文の文献やその和訳書(例えば)には、「フォークランド紛争での重機関銃による単発狙撃」についての言及が見当たらない。また「フォークランド紛争での戦訓がきっかけとなって対物ライフルが開発された」とする説も、一部の和文文献(例えば)には見受けられるが、これも英文文献やその和訳書(例えば)では言及されていない。
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