場の理論の他のフレームワークや概念との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/18 15:00 UTC 版)
「ワイトマンの公理系」の記事における「場の理論の他のフレームワークや概念との関係」の解説
ワイトマンのフレームワークは、有限温度の状態のように無限個のエネルギー状態をカバーしてはいない。 局所場の理論(英語版)とは異なり、ワイトマンの公理系は、空間的(space-like)に分離した場の間に可換または反可換を導入することで、明確には理論の因果関係を限定していない。代わりに、定理として因果構造を導出している。ワイトマンの公理系の一般化を 4 以外の次元で考えると、この(反)可換性は低い次元ではエニオンや結び目統計(英語版)(braid statistics)を棄却する。 ワイトマンの真空状態の一意性の前提は、自発的対称性の破れの場合にワイトマンの公理系が不適切とするわけではない。なぜならば、いつでもスーパーセレクションセクター(英語版)に限定することが可能だからである。 ワイトマン公理系によって要求される真空の巡回性は、真空のスーパーセレクションセクターを記述しているだけであることを意味する。繰り返すが、一般性を大きく失うことはない。しかしながら、この前提は、ソリトンのような有限のエネルギー状態を残さない。有限のエネルギー状態は、テスト函数によって操作された場の多項式によって生成することができない。なぜならば、少なくとも場の理論の観点からは、ソリトンは無限遠点でのトポロジカルな境界条件を意味する大域的な構造だからである。 ワイトマンのフレームワークは、有効場理論をカバーしていない。なぜならば、テスト函数の台(support)がどのように小さくできるかの極限を持たない。すなわち、カットオフ(英語版)(cutoff (physics))スケールが存在しない。 ワイトマンのフレームワークは、ゲージ理論(英語版)もカバーしていない。アーベルゲージ理論の範囲でさえ、伝統的なアプローチは、不定計量を持つヒルベルト空間(本来、ヒルベルト空間は正定値計量であることが正しいのではあるが、にもかかわらず、物理学者はこれをヒルベルト空間と呼んでいる。)から出発し、物理状態と物理的作用素はコホモロジーに属している。これは明らかにワイトマンのフレームワークのどこでもカバーしていない。(しかし、シュウィンガー、(Schwinger)、クリスト(Christ)、レー(Lee)、グリボフ(Gribov)、ツヴァンジガー(Zwanziger)、ヴァン・バール(Van Baal)らにより、クーロンゲージでのゲージ理論の正準量子化は、通常のヒルベルト空間でも可能であり、このことが公理体系の応用の中へ入る可能性のではないかということを示した。) ワイトマンの公理系は、ボーチャーズ代数(英語版)(Borchers algebra)上のワイトマン汎函数(英語版)(Wightman functional)と呼ばれる状態のことばで再構成することができ、テスト函数の空間の上のテンソル代数に等価となる。
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