商事売買
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/17 13:33 UTC 版)
商人間の売買を商事売買といい、商法に特則が設けられている。 売主による目的物の供託権及び自助売却権(商法524条) 商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる(商法524条第1項前段)。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない(商法524条第1項後段)。損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる(商法524条第2項)。前二項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない(商法524条第3項)。 これらの規定は民法494条や民法497条の特則である。 定期売買の履行遅滞による解除(商法525条) 商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす(商法525条)。 この規定は民法542条の特則である。 買主による目的物の検査及び通知(商法526条) 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない(商法526条第1項)。前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない(商法526条第1項前段)。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6か月以内にその瑕疵を発見したときも同様とされている(商法526条第2項後段)。前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない(商法526条第3項)。 この規定は担保責任に関する特則である。 買主による目的物の保管及び供託(商法527条) 商法526条第1項に規定する場合においては、買主は、契約の解除をしたときであっても、売主の費用をもって売買の目的物を保管し、又は供託しなければならない。ただし、その物について滅失又は損傷のおそれがあるときは、裁判所の許可を得てその物を競売に付し、かつ、その代価を保管し、又は供託しなければならない(商法527条第1項)。前項ただし書の許可に係る事件は、同項の売買の目的物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する(商法527条第2項)。第一項の規定により買主が売買の目的物を競売に付したときは、遅滞なく、売主に対してその旨の通知を発しなければならない(商法527条第3項)。前三項の規定は、売主及び買主の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)が同一の市町村の区域内にある場合には、適用しない(商法527条第4項)。
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