弁済供託の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 00:58 UTC 版)
弁済供託をすることができる場合(供託事由、供託原因)は、債権者の受領拒絶、債権者の受領不能、債権者不確知の3つの場合である。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で整理が行われた。 債権者の受領拒絶弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだときである(民法494条1項1号)。債権者があらかじめ受領を拒絶したときでも、債務者は、弁済の提供(口頭の提供)をしなければ、供託しても債務を免れることができない(大審院明治40年5月20日判決民録13巻576頁)。ただし、債務者が提供しても債権者が受領しないことが明確な場合には、口頭の提供をせずに供託しても有効である(大審院明治45年7月3日民録18巻684頁)。 債権者の受領不能債権者が弁済を受領することができないときである(民法494条1項2号)。債権者が弁済を受領することができない場合は、債権者の帰責事由の有無を問わない。 債権者不確知弁済者が債権者を確知することができないときである(民法494条2項本文)。債権譲渡が同一の債権で幾重にも行われた場合(最判平成10年6月12日民集52巻4号1121頁)などである。ただし、弁済者に過失があるときは供託できない(民法494条2項ただし書)。 債権者不確知が生じるのは、賃借権契約において賃貸人が死亡し相続人が不明である場合や、債権譲渡が行われたが譲渡人と譲受人との間で債権の帰属に争いがある場合などが考えられる。 なお、商事売買における特則について商法524条に定めがある。 また、荷受人を確知することができない場合の運送人の供託権について商法585条に定めがある。
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