古代ケルトの神々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 07:18 UTC 版)
ローマ時代前後にガリア、ブリタンニアなどのケルト社会で崇拝されていた神々。ガリア人による伝承の類は一切残されておらず、当時のギリシア人・ローマ人の記録や考古学資料によってその存在が推定されている。 ルキアノスによると、ガリア人のパンテオンではテウタテス(Teutates)、タラニス(Taranis)、エスス(Esus)などが重要視されていた。カエサルはこれらのほかにベレヌス(Belenus)を挙げている。だが、これらの神々の役割ははっきりとはわかっていない。また、かれらの性質は地域によって入れ替わることがあった。 ルゴス(Lugos、ルグLugとも) おそらく印欧祖語 *leuk(光)に由来する。ガリアでは崇拝の形跡が見つかっていない神だが、地名学の見地から崇拝されていたことが証明可能とされる(リヨンの古名ルグドゥヌムLugdunumの由来とされる)。カエサルがメルクリウスと同一視した神と考えられるが、メルクリウスはトータティスにも、エススにも対応しうる。 テウタテス トータティス、トティオウリクス、テウタヌスとも。おそらくケルト祖語の*teuta(3つの)と*tato(父)から来ており、ルキアノスはあるときはメルクリウス、あるときはマールスと同一視している。トータティスはおそらくカエサルがローマの冥府の神ディス(Dis Pater)に対応するとした神と思われるが、はっきりとした証拠は何も残っていない。 タラニス おそらくゴール語のtaran(雷鳴)が由来とされるが、はっきりしていない。タラニスは太陽と天上の神であり、さらにその職能から、雷鳴、戦争、炎、死、そして空の神でもある。 エスス その名はエーススだとすればヴェネト語の「神」、エススだとすれば「主人、支配者」が語源であると考えられるがはっきりしない。ルカヌスが同時に挙げたテウタテス、タラニスに比べ考古学上の証拠となるような遺物の発見に乏しく、その信仰の実態は他の神以上に不明瞭である。 スケッルス(Sucellus) 槌(死と復活の象徴)と盃(富の象徴)を持つ、森と農業の神。アイルランド神話のダグザに対応すると考えられる。 エポナ 馬を司る女神。豊穣の女神でもある。騎乗した女性、あるいは馬を従えた女性の姿で表される。 ケルヌンノス ガリアで広く信仰された狩猟神。有角の男性の姿で表される。 アンダストラ イケニー族の勝利の女神? ベレヌス 「明るい」「輝いている」の意。ガリアの太陽神かつ治療師。 アルティオ 「熊」の意。森の女神。 カムロス ブリテンとガリアの戦争神。 レヌス トレウェリー族の治療師かつ神。 セクアンナ セーヌの女神。 ウァシオ ウァシオ(ヴェゾン=ラ=ロメーヌ)のウィコンティイー族の神。
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