取組進行・勝負判定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:25 UTC 版)
行司は勝負が決まったと判定したら、どちらの力士が勝ったかを軍配によって示さなければならない(江戸時代には東西どちらかに上げるだけでなく、勝負の判定がつけられそうもない微妙な取組の場合に無勝負という裁定もできたが、現在ではいかなる場合でも東西どちらかに軍配を上げねばならないことになっている)。行司の判定に対して、勝負審判などが異議を申し立てた場合には物言いとなり、協議がなされる。行司は勝負決定の軍配を東西いずれに上げても、物言いが行われると、拒否することができない。行司自身が負傷等の原因でどうしても勝敗の判定を行うことが出来ない場合、土俵際に控えている別の行司が負傷した行司に代わって勝敗を軍配で示す。 勝負の判定を決すると同時に、その競技を円滑に進行させ、両力士を公平に立ち上らせるために指導し、助言する。 力士の仕切りに際しては 「構えて、まだまだ」等の掛け声をかける。 両力士が立ち上ってからは、「残った。ハッキョイ。」の掛け声をかける。 立合いに際しては、両カ士を公平に立たせるため、手つきが不十分の場合には、行司は「待った」をさせて再度仕切らせることができる。 競技進行中に力士に負傷を認めた時は、行司が両力士の動きを止めて、負傷の程度に依り、審判委員と協議の上、競技の続行中止を発表する。 競技が長引いて両力士の疲労を認めた場合は、審判委員の同意を得て、水を入れることができる。 水入り後組み直した時は、力士、審判委員に異議なきを確かめてから、「いいか、いいか」と声をかけて開始する。 競技中に、力士の締込が胸まで伸びて、止めやすい状態の場合は、行司は動きを止めて、締め直させることができる(まわし待った)。 行司は一か所に止まらず、勝負審判や観客の邪魔にならぬように動かねばならない。 勝負規定上は取組進行役としての役割が最も重要である。 他競技でいうところの主審やレフェリーなどに相当すると言われるが、行司は一次的に取組の勝敗を判定する者であり(アマチュア相撲では、この役割を行う者を他競技のように「主審」と呼ぶ)、勝敗の最終的な決定権はあくまで勝負審判にある。行司は、取組中の反則の有無は審査しないほか、同体の判定はできない、物言いとなった際には意見を述べることはできても最終的な評決には加わることができない等、現代スポーツの多くで主審に与えられている権限がない。実際、高位の行司であっても勝負審判に対して自らの判定の正当性を強く主張することは稀である。
※この「取組進行・勝負判定」の解説は、「行司」の解説の一部です。
「取組進行・勝負判定」を含む「行司」の記事については、「行司」の概要を参照ください。
- 取組進行勝負判定のページへのリンク