厳密な結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 12:57 UTC 版)
「ゴールドバッハの予想」の記事における「厳密な結果」の解説
強いゴールドバッハ予想は、さらに非常に難しい。ヴィノグラードフ(英語版)(Vinogradov)の方法を使い、チュダコフ(英語版)(Chudakov) や、ヴァン・デル・コルプト(英語版)(Van der Corput) や エスターマン(英語版)(Estermann) は、ほとんど全ての偶数が 2つの素数の和として表すことができることを示した(この意味は、そのように書くことのできる偶数の確率が 1 に近づく傾向にあるという意味である)。1930年、レフ・シュニレルマン(英語版)(Lev Schnirelmann)はで、任意の 1 より大きな自然数は C 個よりも多くない素数の和として書き表すことができることを証明した。ここに C は有効に計算可能な定数である。シュニレルマン密度を参照。シュニレルマンの定数(Schnirelmann's constant)は、この性質を持つ最も小さな数であり、シュニレルマン自身は C < 800000 を得た。この結果は多くの人々により拡張されている。オリバー・ラマレ(英語版)(Olivier Ramaré)は、1995年に全ての偶数 n ≥ 4 は、多くとも6つの素数の和であることを示した。ハラルド・ヘルフゴットは、2013年に弱いゴールドバッハ予想を証明したとする論文を発表したが、これが正しいとすると、その帰結として全ての偶数 n ≥ 4 は多くとも4つの素数の和であることになる。 陳景潤(Chen Jingrun)は、1973年に篩法を使い、全ての十分に大きな偶数は 2つの素数の和として書き表されるか、もしくは一つの素数と半素数(2つの素数の積)の和として書き表すことができることを示した。例を挙げると、100 = 23 + 7·11 陳の定理を参照。 1975年、ヒュー・モンゴメリ(英語版)(Hugh Montgomery)とロバート・チャールズ・ヴォーン(英語版)(Robert Charles Vaughan)は、「ほとんど」全ての偶数は 2つの素数の和として表すことができることを示した。詳しくは、正の数 c と C が存在して、全ての十分に大きな数 N に対して、N よりも小さな数は 2つの素数の和であることを、彼らは示した。この例外は、多くとも C N 1 − c {\displaystyle CN^{1-c}} である。特に、2つの素数の和であらわされない偶数の集合は自然密度(英語版)(natural density)ゼロである。 ユーリ・リニック(英語版)(Yuri Linnik)は、1951年、全ての十分に大きな偶数が 2つの素数と 2 の 高々 K 乗との和として表せるような K が存在することを証明した。ロジャー・ヒースブラウン(英語版)(Roger Heath-Brown)とジャン・クリストフ・シュラージ・プクタ(英語版)(Jan-Christoph Schlage-Puchta)は、2002年に、K = 13 であることを発見した。 これは、2003年にヤノス・ピンツ(英語版)(János Pintz)とイムル・ルッツァ(英語版)(Imre Z. Ruzsa)により K=8 と改善された。 数学の多くの有名な予想と同じように、ゴールドバッハ予想を解いたと主張する多くの「証明」があるが、数学の学会では受け入れられていない。
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