原型作品からの加筆内容概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 22:52 UTC 版)
「迷路荘の惨劇」の記事における「原型作品からの加筆内容概要」の解説
名琅荘の位置や構造および関連人物の家族関係に関する設定は大きく変更されていないが、人名は中編化の際に、年齢や年代の設定は長編化の際に、各々全面的に見直されている。また、辰人殺害時の各登場人物のアリバイに関する時刻設定は中編化でも長編化でも細かく見直されている。柳町のフルート演奏がこのアリバイに関連する設定は長編での追加である。 速水譲治は長編化に際して登場し、関連して辰人死体の発見状況が吊り下げられた状態から馬車に乗せられた状態に変更された。真野信也(短編では河野信也)の正体は、短編で柳町、中編で奥村、長編で譲治と全て違っている。戸田タマ子は短編(苗字の設定なし)や中編にも登場するが、信也に応対したという以上の役割は与えられていない。 中編化の際に警察関係者が個別に描写され、辰人殺害後の各関係者への個別聴取場面も追加されている。抜け穴探検の場面も中編で追加されているが、長編ではさらに鬼の岩屋との同時探検が追加され、このとき陽子が重傷を負って意識不明になる。関連して、仁天堂側の出口が外から操作できない電気仕掛けに変更されている。また、篠崎銃撃の際に応急処置したのを陽子(短編では朋子)から意識不明の陽子に付き添っていた看護婦に変更している。 篠崎銃撃に先立って金田一たちが尾形静馬の墓を発見する設定は長編での追加であり、短編や中編では最後に糸が存在を語るのみである。篠崎銃撃の前に短編では金田一、中編では井崎刑事(長編の井川刑事)が悪夢を見る描写や銃撃直後の現場状況の描写は長編では削除されている。金田一は中編では一旦東京に戻って調査しており篠崎銃撃のとき不在だったが、長編では東京に戻ろうとしたところで天坊殺害の報を受け、調査を小山刑事に任せて名琅荘に戻っている。 篠崎銃撃の際に抜け穴の一部が崩落する設定は中編での追加であり、さらに長編では救助に何時間も要する規模の大崩落に変更された。柳町の死因は短編では銃創、中編では専ら崩落で、長編では銃創を負ったうえ崩落に巻き込まれている。柳町が瀕死の状態で自分の犯行だと主張する設定は共通である。倭文子は短編では柳町による扼殺、中編では射殺であるが、長編では銃創を負ったうえ崩落で身動きが取れなくなり鼠に食い殺されている。 天坊の役割は短編では不明確で、恐喝を行っていた設定は中編で追加された。中編では篠崎銃撃に引き続いて抜け穴の中で射殺される設定であり、浴室での殺害や密室トリックは長編での追加である。 長編では静馬殉難碑の建立など事後談が充実している。篠崎が倭文子を辰人に返そうとしていた設定については、短編や中編では最後の篠崎と糸との3人のみの場面で金田一が指摘するに留まっていたが、長編では風間が調べた資金の動きを根拠に警察に指摘し、篠崎もそれを認めている。
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