単行本のデザイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 07:00 UTC 版)
「海が走るエンドロール」の記事における「単行本のデザイン」の解説
たらちねの作品は初の単行本以外は白川が担当しており、本作も同様である。映画が題材であるため、単行本のカバーの折り返し部分や目次ではフィルムが描かれており、「全体的な世界観」が目次で表現されている。帯も白川がデザインしている。商業誌ではたらちねは表紙のデザインに関わらず、基本的にはデザイナーに任せて制作が行われている。たらちねの作品『グッドナイト、アイラブユー』などではデザイナーからオーダーを受け、イラストを描くスタイルで表紙のデザインが制作されていたが、本作の第1巻ではWeb用のカットイラストを「きれいに描き上げて単行本の表紙に」することになり、絵が先に決定されている。 当初山本は、表紙の絵を「引きにしようか、アップにしようか」悩んでいたため、この作品では最初からたらちねと白川の3人で集まり、打ち合わせを行った。山本は、たらちねの絵は「すごく雰囲気があるイラスト」であるため、うみ子と海の「2人を見せて海が背景にある感じがいいのかな」と思い、引きの絵にしようと考えた。しかし「この作品をいろんな方に届けたい」と考えた時に「うみ子さんという1人のキャラクター(人物)がカメラ(映画)を始めたよ!」と読者に伝えるためにはアップの絵の方がいいと決断をした。男女のイラストでバランスをとるのではなく、うみ子のインパクトと知ってほしい点を重視したのである。 たらちねはまず、「創作というのは苦しい部分もあるから」という思いを込めて「ちょっと苦しい表情」のうみ子のイラストを提出した。しかし山本は「一歩踏み出す」という第1巻の内容から、「苦しさもあるけどちょっと楽しいかな? という明るい表情にしたい」とたらちねに伝えた。そこからリテイクを繰り返したが、たらちねは苦労はなく淡々とイラストを描いたという。 イラストが決定した後、「顔に合わせて帯を傾け」る案や、海の顔をフィルムに入れるか、連載時のロゴの再使用についてなど、白川による試行錯誤が行われた。連載されている雑誌は少女漫画誌であるが、「絶対にいろんな人に刺さる漫画」であり、いろいろな人に読んでほしいという白川の思いから、「優しかったりきれいすぎるデザインにしないほうがいい」と考え、第1巻の背景が白いデザインと青いデザインの2種で悩んでいた。白川としては、「青い背景だとちょっと強」く、「感覚的に難しい話に見えたりする」ため、「白背景のほうが希望を感じる」と考えていた。そこで山本は同月発売の他作品と並べたり、既存作品と並列して目立つか試したり、書店員とつき合いがある販売部員を通じて書店員に助言をもらうなど、いろいろと手を尽くした。しかし最終的には好みであるという考えに至り、山本の好みで白い背景のデザインの第1巻が誕生している。たらちねは編集部や白川、現場の書店員などの意見を尊重したいと考えたため、「編集部の最終決定でいい」と思ったという。 TSUTAYAの仕掛け番長は、第1巻の表紙を「まるで名作映画のワンシーンを切り取ったような、そこにある大きなドラマも感じさせるような1枚絵」と「認識できるのにイメージの邪魔をしないタイトルの載せ方」であると表現している。
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