医薬品としての効能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 10:11 UTC 版)
ユビキノンは、日本でかつて医療用医薬品として「軽度及び中等度の鬱血性心不全症状」などに期待されて1日30mgの投与量で用いられていた。人での効果を明確に実証した研究はなかった。小規模な無作為化試験では運動耐容能や左室駆出率に関してプラセボと有意差を示せず、心臓に関しては薬剤としての効能はほぼ否定され、『心不全治療ガイドライン2005』で米国心臓学会/米国心臓協会はユビキノン(コエンザイムQ10)の治療目的での摂取について「心不全の治療法に対しては、さらに多くの科学的根拠が蓄積されるまで推奨できない」と位置づけている。一般臨床の場では処方されなくなり、一般消費者をターゲットとして日本の複数の製薬メーカーが、一般用医薬品(OTC医薬品)・医薬部外品として発売するようになった。その薬剤としての実証性のなさから、米国FDAは薬剤として認めておらずあくまで食品との位置づけであり、従って規制の対象外であり、医師の処方箋なしに消費者が直接店頭などで購入できるようになった。 日本でも2001年に医薬品の範囲に関する基準(いわゆる「食薬区分」)が改正され、さらに2004年化粧品基準が改正されて、健康食品や化粧品への利用に道が開かれた。体内で合成されるものを摂取すること、消化器で分解されることを考慮すると、その効能は未知数ではある。ただ、加齢とともに減少することは確認されており、最近のサプリメントでは、消化されないよう加工されたものも作られている。摂取量については、どの程度までなら摂取しても安全なのか、などといった推奨量や上限量はわかっていない。また「多量に摂取した場合に軽度の胃腸症状(悪心、下痢、上腹部痛)」[1]があらわれるという報告があり、1日に数十mg以上の過剰摂取は避けた方が望ましい。厚生労働省からは医薬品として用いられる量(1日30mg)を超えないようにとの通知が出されている。 ユビキノンの誘導体であるイデベノン(商品アバン)は、脳循環・代謝改善剤として使用されていたが、日本では1998年に医薬品の承認を取り消されている。
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