ケミカルバイオロジー
![]() | この記事は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2024年6月) 翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。
|
ケミカルバイオロジー (英語: chemical biology) とは、ハーバード大学のスチュアート・シュライバーらが提唱した、分子生物学的な手法に加えて有機化学的な手法も駆使し、核酸や蛋白質など、生体内分子の機能や反応を分子レベルから扱おうとする学問領域のことを指す。[1][2]その中でも DNA や RNA などを対象とする分野は、化学遺伝学(ケミカルゲノミクス)と呼ばれる。[3][4][5]
概要
生物学あるいは遺伝学は、生物にみられる形質を対象として、その根底にある遺伝子とその発現、生体分子の相互作用、それらによる制御といったメカニズムを解析する方向で進歩してきた。それと並行して、有機化学的方法を駆使した医薬品などの創薬が進み、これらの薬品が生物に与える影響(効果・副作用・毒性)についての情報も大量に蓄積されつつある。[6]初めから生体高分子を狙った分子標的薬もすでに実用化が進んでいる。[7][8][9]このような化合物の影響を「形質」と見なして、その根底にあるメカニズムを探ろうとするのがケミカルバイオロジーである。[10][11][12]
生体機能の制御や解析、再現に関わるものであれば、低分子有機化合物から生体高分子まで、広い範囲の有機分子が研究対象に入る。ケミカルバイオロジーはそれら生体内分子あるいは関連化合物の、生体やモデル系における機能や反応を解析することにより、生体機能に関わる分子の振る舞いを理解しようとする学問でもある。
ナノテクノロジー、超分子化学とも関連が深く、[13]近年、一領域を築いた分野である。
学術誌
関連項目
脚注
- ^ Altmann, K. H., Buchner, J., Kessler, H., Diederich, F., Krautler, B., Lippard, S., ... & Walsh, C. T. (2009). The state of the art of chemical biology. ChemBioChem, 10(1), 16-29.
- ^ 長田裕之. (2007). 化学と生物学の融合を目指して: ケミカルバイオロジー. 学術の動向, 12(12), 62-63.
- ^ Spring, D. R. (2005). Chemical genetics to chemical genomics: small molecules offer big insights. Chemical Society Reviews, 34(6), 472-482.
- ^ Kanehisa, M., Goto, S., Hattori, M., Aoki-Kinoshita, K. F., Itoh, M., Kawashima, S., ... & Hirakawa, M. (2006). From genomics to chemical genomics: new developments in KEGG. Nucleic acids research, 34, D354-D357.
- ^ Hoon, S., Onge, R. P. S., Giaever, G., & Nislow, C. (2008). Yeast chemical genomics and drug discovery: an update. Trends in pharmacological sciences, 29(10), 499-504.
- ^ 高橋行雄. (2014). 1. 日本の公開医薬品副作用データベースの活用. 薬剤疫学, 19(1), 14-22.
- ^ Tsimberidou, A. M. (2015). Targeted therapy in cancer. Cancer chemotherapy and pharmacology, 76(6), 1113-1132.
- ^ Brown, C. (2016). Targeted therapy: an elusive cancer target. Nature, 537(7620), S106-S108.
- ^ Ke, X., & Shen, L. (2017). Molecular targeted therapy of cancer: The progress and future prospect. Frontiers in Laboratory Medicine, 1(2), 69-75.
- ^ Ojima, I. (Ed.). (2009). Fluorine in medicinal chemistry and chemical biology. John Wiley & Sons.
- ^ Arya, D. P. (2007). Aminoglycoside antibiotics: from chemical biology to drug discovery (Vol. 5). John Wiley & Sons.
- ^ Thirumurugan, P., Matosiuk, D., & Jozwiak, K. (2013). Click chemistry for drug development and diverse chemical–biology applications. Chemical reviews, 113(7), 4905-4979.
- ^ Atwood, J. L., & Steed, J. W. (Eds.). (2004). Encyclopedia of supramolecular chemistry. CRC Press.
外部リンク
化学・生物学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 06:49 UTC 版)
化学では、官能基を区別するために用いられる。たとえば、R-CO-R′という化学式は、2つの官能基(RとR′)に挟まれた構造のケトンを表現している。 またIUPAC命名法において、環集合に位置番号を付ける際に複数の環を区別するために用いられる。具体例としては核酸の構成要素であるヌクレオシドが挙げられる。ヌクレオシドでは核酸塩基にプライムなしの位置番号を、リボースにプライム付きの位置番号を振る。 分子生物学において核酸分子の向きを示すのに5'・3'という表記が用いられるが、これはリボース環での位置番号に由来している。核酸はヌクレオシドの5'位の炭素と隣のヌクレオシドの3'位の炭素の間がリン酸で結びつけられた構造をしており、そのためこの2つの表記で向きを示すことができるのである。
※この「化学・生物学」の解説は、「プライム」の解説の一部です。
「化学・生物学」を含む「プライム」の記事については、「プライム」の概要を参照ください。
- 化学・生物学のページへのリンク