動物のエナメル質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 14:44 UTC 版)
研究者達の調査により、人間と人間以外の哺乳類のエナメル質との間に違いはほとんどないということが示された。エナメル質の構造にほとんど違いはなく、エナメル器やエナメル芽細胞もヒトと同様に存在する。エナメル小柱の横断面は動物により六角形、円形、長円形などを示す。哺乳類間でのエナメル質の相違はわずかであるが重要である。形態、数、歯のタイプなどの点において確かな違いが存在する。 イヌは、唾液中のpHが8.0 - 9.0と非常に高く、歯の脱灰を防ぎ再石灰化を促進させるので、人間に比べて虫歯になりにくい。その一方、歯牙破折はしばしば認められ、特にガム、骨、チュウトイなどが原因で裂肉歯にてエナメル質と象牙質が剥がれるように破折することが多い。外傷などにより歯が破折した時やう蝕になった場合、人間と同じように歯に修復物を詰めて治療することができる。この場合、全身麻酔下で一度に行う。人間の歯と似ているため、イヌのエナメル質もテトラサイクリンによって着色される。したがって、若いイヌにテトラサイクリンが処方される場合、その危険性を説明しなければならない。また、人間同様エナメル質形成不全が発生する可能性もある。ネズミは切歯の舌側面や臼歯の咬頭頂にはエナメル質を持たず、また、ウサギやモルモットでも切歯の舌側面にエナメル質が存在しない。ウマでは、エナメル質と象牙質がかみ合っているが、これは強さを高め、摩耗を減らす働きがある。 哺乳類以外で後生動物の中で歯にエナメル質を持つ生物としては、硬骨魚類、両生類、爬虫類が存在する(軟骨魚類はエナメロイド)。爬虫類や魚類の多くはエナメル質の構造が哺乳類と異なり、小柱構造を持たない類エナメル質と呼ばれることもある。また、エナメル質を持たないサワラやヒラメや、歯の発生において象牙質より先にエナメル質が作られる鯛のようなものも魚類の中に存在する。
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