刺突爆雷の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 15:10 UTC 版)
刺突爆雷は長さ1.5メートルの棒、または竹の先端に、全幅20センチメートル、全長30センチメートルの円錐状の成形炸薬弾頭をつけたものである。円錐形の弾頭内部には漏斗状の空間が設けられており、装甲に対してノイマン効果を発生する。弾頭の後部には打撃発火式の信管が付けられている。弾頭の前面には、刺突方向に向けて等間隔に3本の釘が植えられていた。これは人力で装甲に突き刺すというためのものではなく、成形炸薬のスタンドオフ距離を維持するための棒と考えるのが妥当である。 刺突爆雷を把持するための棒は、弾頭後部の接続筒に中ほどまで挿入されて結合されている。棒は、接続筒と棒とを貫入して止めている安全栓および止栓によって結合を保持している。使用するときには安全栓を抜いて、棒を保持して戦車の装甲板を突いた。棒の先端には撃針が取り付けられており、打撃によって棒が止栓を切り、弾頭内部の中空部分を完全に前進すると、信管の点火薬を撃針が叩き、即座に起爆される。 成形炸薬弾の爆発の威力はすべてが前方に収束するわけではなく、残りは周囲へと爆風を及ぼす。互いに援護し合ったり歩兵を伴っているであろう敵戦車に数メートルの距離まで肉薄するということ、安全栓を外すと移動中に誤って暴発させる危険性があること、対戦車攻撃に成功した場合、爆薬が使用者のわずか1、2メートル先で爆発することを考えれば、生還を考慮に入れるような種類の兵器ではない。 刺突爆雷は前線への補給が間に合わず、さまざまな種類のものが現地の各部隊で製作された。フィリピン島、沖縄の実戦で投入された。 国民義勇隊が竹槍訓練を行い、物資も極端に不足していた大戦最末期の本土では、竹の先に爆雷を装着するのではなく竹自身の先端に爆薬と信管を詰めて爆発させる「爆槍」なるものを本土決戦に備えて配備していたが、こちらは実戦に供される機会が無いまま終戦を迎える。
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