初音ミク10周年とYouTubeの台頭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 17:15 UTC 版)
「ボカロ (音楽ジャンル)」の記事における「初音ミク10周年とYouTubeの台頭」の解説
2017年には、wowakaなどからの影響を受けて独自のメタル的なフレーズと特徴的な音色の合成を多用した楽曲を製作したボカロPのMARETUが同年に投稿した楽曲4曲全てで100万回再生を記録した。また、kemuの影響を受けた後にシンセを排した独自の音楽路線に転向したかいりきベアもヒット曲を叩き出した。同年12月投稿のツミキの『トウキョウダイバアフェイクショウ』がヒットを記録するなど、リリースカットピアノや200を超える高BPMを特徴した楽曲の流行も見られた。 2017年は初音ミク10周年を迎え、wowaka、kemu、ハチなどのボカロPの楽曲が久しぶりに投稿された。。例えば、wowakaは楽曲『アンノウン・マザーグース』でヒットを叩き出し、初音ミク10周年を記念した「マジカルミライ2017」のテーマソングであるハチの楽曲『砂の惑星』は歴代最速でニコニコ動画に投稿されたボーカロイド曲としてミリオン再生を記録した。なお「砂の惑星」は2016年当時のボカロシーンを風刺したものと言われており、後にナユタン星人やsyudouらがアンサーソングを発表した。ヒット楽曲の主要な投稿先が、ニコニコ動画だけでなくYouTubeに移行したのも2017年とされており、その先駆けの一つとされているカンザキイオリの楽曲『命に嫌われている。』がYouTube上に投稿されたのもこの時期である。この楽曲のまふまふによる「歌ってみた」動画は現在YouTubeで1億回再生を突破している。この頃から、YouTube上での活動に際して、こんにちは谷田さん(キタニタツヤ)、しーくん(seeeeecun)、有機酸(神山羊)、MI8k(YUUKI MIYAKE)、mao sasagawa(笹川真生)、はるまきごはん、Eve(歌い手としても活動していた)などに代表される、ボーカロイド曲のセルフカバーを投稿してシンガーソングライターデビューを果たすという流れが本格化した。また、「和」の雰囲気の楽曲を作る羽生まゐごや一二三、その逆に洋楽に影響されたGuianoなどが登場している。 2018年2月にはみきとPの楽曲『ロキ』が投稿され、同年12月の「YouTube FanFest」でVTuberのキズナアイとミライアカリがmajikoとともに『ロキ』を熱唱するなどの展開を見せた。2018年10月には煮ル果実の楽曲『紗痲』が、2019年2月にはBPM69という低速の楽曲となった煮ル果実の楽曲『ヲズワルド』がヒットした。2019年1月にはエレクトロニックミュージックやJust the Two of Us進行の流れを組んだsyudouの楽曲『ビターチョコデコレーション』がヒットを記録するなどの現象も起こった。煮ル果実とsyudouに代表されるトラップとヒップホップの流れは、ハチの楽曲『砂の惑星』の系譜を組んだものとなっている。2019年4月には、同様にエレクトロニックミュージックに位置づけられるAyase(YOASOBIのコンポーザーも務める)の楽曲『ラストリゾート』がYouTube上に投稿されている。また、この頃すりぃが1分ジャストの曲の中で起承転結を成立させ、キャッチーさと物足りなさを作り出すことで中毒性を生む、という手法でヒット。 2019年8月に楽曲『オートファジー』で、2020年4月に『ボッカデラベリタ』でヒットした柊キライは、クラブミュージック、エレクトロ・スウィングを中心とした幅広いジャンルの要素を取り込んだ曲風で人気を博した。2020年5月に楽曲『百鬼祭』でデビューし、2作目の『KING』で大ヒットを記録したKanariaは、ロック調ではないシンセや電子ビートなどを特徴とした曲風、2分半という曲の短さなどで人気を博した。この頃発表した楽曲がヒットを記録した人物として、john、Peg、wotaku、獅子志司、SEVENTHLINKS、マイキP、シャノン、Aqu3raなどの名前が挙げられる。また、てにをはも2020年2月に『ヴィラン』で再度ヒットを果たした。
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