出雲の舞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 09:56 UTC 版)
出雲の舞(いずものまい)は、島根県で育成されたソバの品種である。島根県では、現地の気象条件に適した小粒の在来種「小そば」が古来より栽培されていた。中でも仁多郡奥出雲町の「横田在来」は、「出雲そば」の特徴である濃い麺色・優れた風味を有することから、貴重な在来種として継承されている。しかし、小粒であるため発芽や初期生育が不安定であり、成熟期が遅いため霜害や積雪害のリスクが大きい。また、近年は他品種との交雑により遺伝的均一性が乱れ問題となっている。 2000年代初頭以降、蕎麦需要の増加により県外から種子が導入されている。中でも「信濃1号」は成熟期が早く、広い地域適応性があり、島根県においても平坦部から山間部まで栽培が増加した。それと引き換えに「出雲そば」に適する在来品種の作付面積が減少している。県内自給率が20%程度を記録したこともあった。 このような背景のもと、地域特産物としての優位性を補充強化するためにも、島根県独自の優良品種が要望され、島根県農業試験場では新品種の育成を行ってきた。2003年、北海道の古くからの品種「牡丹そば」(早生で倒伏に強い)を母に、「横田在来」(食味が良い)を父に交配、新品種として育成されたのが「出雲の舞」である。 2007年秋、F8(雑種第8代)のある系統について、中熟 、小粒 、多収で製粉歩留が高く、食味が優れていると認め、2011年2月に品種登録出願を行い、2014年1月に「出雲の舞」の名称で公表された。命名は全国から公募し、島根県東部の方言で「旨い」を意味する「まい」を含む名称に決定。舞い踊るほどに風味が濃くおいしいという意味も込められている。 平坦部から山間部(500メートル以下)に適する。播種の晩限は平坦部で8月下旬、山間部で8月中旬。耐湿性は強化されていないので従来の品種同様、排水対策は必要である。
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