出走有力馬の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 23:47 UTC 版)
「第138回天皇賞」の記事における「出走有力馬の状況」の解説
1番人気に推されたのは、前年に牝馬として64年振りの東京優駿(日本ダービー)制覇を果たし、この年も安田記念に優勝していたウオッカであった。前哨戦の毎日王冠では新馬戦以来の逃げ戦法を見せ、ゴール直前でスーパーホーネットに交わされて2着となっていたが、騎乗する武豊が「今まで乗ってきた中で一番状態が良い」と明言するなど、状態は上向きと見られていた。また、東京コースでは5戦2勝・2着2回、唯一連対(2着以内)を外したのは前年秋に出走したジャパンカップの4着で、それも優勝馬からは0.2秒差と安定した成績を保っていた。ただ陣営はウオッカを前哨戦を使って万全の状態に仕上げ、さらに得意の府中であるということに対し、ダイワスカーレットは初めての府中に6ヶ月ぶりの実戦で非常に状態が悪く、ウオッカ陣営の角居調教師は『(何もかもが有利な状態の)これで勝てなかったらもう一生ダイワには勝てない』と緊張感を高まらせていた。 続く2番人気にはウオッカと同じく牝馬のダイワスカーレットが推された。本馬は前年に牝馬限定のGI級競走で3勝を挙げ、ここまでウオッカとの対戦成績を3勝1敗としていた。さらに前年末のグランプリ・有馬記念では2着、当年春に出走した大阪杯では、GI競走4勝のメイショウサムソン、菊花賞優勝馬アサクサキングス、この二走後に宝塚記念に優勝するエイシンデピュティらを退けて優勝するなど、第一線の牡馬とも互角以上の能力を見せていた。しかし右前脚骨瘤で5ヶ月間を休養に費やしており、天皇賞は大阪杯以来7ヶ月振りのレースであった。このため、競走の1ヶ月半前から主戦騎手の安藤勝己が騎乗して急ピッチの調整が行われ、放牧からの帰厩時には540kg前後の馬体重であったが、競走当日には大阪杯と同じ498kgでの臨戦となった。 3番人気のディープスカイは3歳馬であり、春に2004年のキングカメハメハ以来となるNHKマイルカップ、東京優駿の「変則二冠」を制していた。本馬は前走で菊花賞トライアルの神戸新聞杯を制していたが、距離やコース適性などを考慮の末に3歳クラシック最終戦の菊花賞を回避、古馬相手となるこちらに出走した。当年のダービー馬が天皇賞に出走するのは、前身の帝室御賞典にヒサトモが出走して以来71年ぶり。戦後では初めての出来事であった。 単勝オッズ一桁台はこの3頭のみであり、重賞2連勝中のドリームジャーニーが14.6倍と、4番人気以下は大きく引き離されていた。なお、最終登録の時点ではメイショウサムソンも登録馬に名を連ねており、同馬が出走すればウオッカ、ディープスカイと共に、日本競馬史上初めて3世代のダービー馬が顔を合わせるはずであったが、競走4日前に調整不足を理由に回避した。
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