再生医療等安全性確保法
別名:再生医療法、再生医療安全性確保法、再生医療等の安全性の確保等に関する法律
再生医療の安全性、迅速性の確保を目的として、再生医療の提供に関する手続きや、特定細胞加工物の製造に関連する制度を定める法律。近年のES細胞やiPS細胞などの技術を用いた再生医療の発達を受けて、2013年11月の臨時国会で、薬事法の改正案とともに成立した。
従来、民間の医院などで「自由診療」の形で行われてきた再生医療は、厚生労働大臣などの承認を受ける臨床研究と異なり、実質無規制で実施されていたため、実態が不明であった。海外から幹細胞を持ち込んで問題になった例や、幹細胞投与後に患者が死亡した事例などが問題視されていた。再生医療等安全性確保法の成立により、再生医療を行う医療機関は届出を行うことが必要になった。無届けで再生医療を行ったり、虚偽の届出をした場合には、罰則も定められた。
再生医療等安全性確保法では、人命や健康に与える影響に基づき、「再生医療等」が第1種から第3種までの3種類に分けられた。第1種が最も高リスクと見なされ、安全性に関する審査が厳しく規定されている。第1種再生医療等に関しては、厚生労働大臣が「特定認定再生医療等委員会」の意見に基づき、研究開発計画の変更命令を下すことができるほか、90日の提供制限期間が定められている。ES細胞やiPS細胞を用いた再生医療は、臨床例が少ないこともあり、高リスクと判断されて第1種再生医療と見なされた。体性幹細胞を用いた再生医療は第2種に、加工された体細胞を用いた再生医療は第3種に割り当てられた。
また、再生医療等安全性確保法では、再生医療関連産業の成長促進も図られた。再生医療に必要な細胞の培養や加工は、従来は単一の医療機関で行われるか、あるいは医療機関同士の間で委託により行われる形態しか認められていなかったが、再生医療等安全性確保法の成立により規制が緩和され、外部企業への委託も可能となった。同時に、細胞培養加工施設の基準や許可手続き、細胞の採取の実施手続きなどについても詳細に規定された。
再生医療の推進にあたっては、再生医療関連製品の実用化促進も重視されていたが、その目的では、再生医療等安全性確保法案とともに薬事法の改正案が提出され、同時に成立した。なお、その際に薬事法は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に名称が改められた。
関連サイト:
再生医療等の安全性の確保等に関する法律 - 総務省e-gov
再生医療等の安全性の確保等に関する法律案及び薬事法等の一部を改正する法律案説明資料 - 厚生労働省
再生医療等の安全性の確保等に関する法律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/04 16:11 UTC 版)
再生医療等の安全性の確保等に関する法律(さいせいいりょうとうのあんぜんせいのかくほとうにかんするほうりつ、平成25年法律第85号)は、日本における、再生医療等に用いられる再生医療等技術の安全性の確保および生命倫理への配慮を定めた法律である。法令番号は平成25年法律第85号、2014年(平成26年)11月25日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)と併せて、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行された。本法と、「医薬品医療機器等法」を合わせて「再生医療関連法」と呼ぶ[1]。
- ^ 再生医療関連法について MEDINET
- ^ 再生医療について 厚生労働省
- ^ a b c 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の概要 厚生労働省作成資料 (PDF)
- ^ a b c d e f g 再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則
- ^ 再生医療等技術の分類について 大阪大学医学部附属病院未来医療開発部 (PDF)
- 1 再生医療等の安全性の確保等に関する法律とは
- 2 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の概要
- 3 罰則
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