公判前整理手続の流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 12:24 UTC 版)
「公判前整理手続」の記事における「公判前整理手続の流れ」の解説
裁判所が、公訴提起後、当事者の意見を聞いて、公判前整理手続に付する決定をした場合(刑訴法316条の2)、裁判所は当事者の意見を聞いて証明予定事実記載書面の提出期限を定めるものとする。検察官は、公判期日において証拠により証明しようとする事実を記載した書面を提出するとともに、証拠の取調べを請求する(刑訴法316条の13第1項、2項)。検察官は、被告人または弁護人に対し検察官請求証拠を開示しなければならない(刑訴法316条の14)。あわせて,被告人または弁護人の請求に基づき証拠の一覧表を交付しなければならない。検察官が新たに証拠の保管に至った時も,改めて新たに証拠の保管に至った一覧表を交付しなればならない これに対し被告人または弁護人は刑訴法316条の15第1項各号に掲げる類型の証拠(証拠物、検証調書、鑑定書、供述調書、取調べ状況報告書,押収手続き記録書面等が掲げられている)に該当し、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要と求められるものについて、検察官に対し開示請求できる(類型証拠開示、刑訴法316条の35)。 検察官請求証拠に関し、被告人または弁護人は意見を述べるとともに、公判期日においてすることを予定している主張があるときは、これを記載した予定主張記載書面を提出するとともに、証拠調べ請求しなければならない(刑訴法316条の17)。これらの手続きについても裁判所は当事者の意見を聞いて期限を定めることができる。さらに、弁護人請求証拠については、検察官に開示しなければならず(刑訴法316条の18)、検察官は意見を明らかにしなければならない(刑訴法316条の19)。 被告人または弁護人は、検察官に対し弁護人の主張に関連する証拠で、検察官請求証拠及び類型開示証拠に該当するもの以外について証拠開示請求できる(争点関連証拠開示、刑訴法316条の20)。 当事者が主張する事実を追加・変更する際は同様の手続を経る。 当事者間の争点の明示及び証拠の開示手続きを経て、裁判所は当事者の意見を聞き、釈明を求めるなどして、争点を明確にし、証拠を整理し、公判予定を定める。公判前整理手続終了時には、当事者との間で事件の争点及び整理の結果を明らかにしなければならない(刑訴法316条の24)。 公判においては、原則として通常の手続きにより開かれるが、検察官の冒頭陳述のみならず、弁護人も主張があるときは弁護人は冒頭陳述をしなければならない(刑訴法316条の30)。その後、裁判所は、公判前整理手続の結果を顕出し、争点を明確にする(刑訴法316条の31)。なお、公判前整理手続を経た事件は、やむを得ない事由により公判前整理手続で証拠請求できなかった証拠を除いては証拠調請求できないが、裁判所が職権で証拠調べをすることを妨げるものではない(刑訴法316条の32)。 刑事訴訟法の証拠開示制度は、検察官手持ち証拠の全ての開示を求めるものでなく、その一覧表の提示も義務付けていない。検察官が被告人に有利な証拠を隠し続けることが可能。
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