全天日射計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/02 06:00 UTC 版)
全天日射計には熱電素子(サーモパイル)を用いるものと、光電素子(フォトダイオード)を用いるものに大別できる。 熱電素子を利用した全天日射計(熱電式)は、透過率の高い透明風防(一般的にはガラス)の中に黒色の受光部を設け、受光部と筐体の間に発生する温度差をサーモパイル(熱電堆)によって温度差に比例した電位差に変換する。この電位差を測定し、その電位差を換算式によって変換して日射量を測定する。 光電素子を利用した全天日射計(光電式)は、半球形の透明風防の中心にシリコンフォトダイオード等の光電素子を置く構造になっており、光電素子の発電量から日射量を測定する。 フォトダイオードを受光素子とする場合、その発電特性は入射する光の波長に依存するため、測定できる波長帯が太陽放射の一部分に限られるうえ、波長によって感度も異なる。一方、サーモパイルを受光素子とする場合、その受光表面を黒色(近似的に黒体として扱える素材を用いる)にすれば、太陽放射のエネルギーを全波長にわたって吸収でき、波長によらずほぼ均等な感度で測定しうる。従って、波長特性については、光電式よりも熱電式の方が一般的に優れている。なお、熱電式では以前は白黒型が存在したが、白黒型は白色の反射特性が悪いため、現在は、黒色のみの受光面で構成される黒黒型が一般的である。 一方、光電式は、放射の時間的変化に対する応答が早い特長がある(熱電式は感部が熱せられた結果を測定しているため、放射の短時間の変化に対する応答は光電式と比べれば遅い)。また製品価格は熱電式よりも安価なものが多い。光電式の波長吸収特性は、測定範囲に対して一様ではないので、使用前に特性を確認する必要がある。 風防以外の外面は白色放射シールド又はアルミ筐体となっており、日射の吸収による内部の過熱や観測誤差を防ぐようになっている。観測にあたっては水平に設置する必要があるため、水準器及び水平調整装置を備える。 気象測器検定規則で許容される器差は、3%(感部のみについて2%)である。 英語ではピラノメーター (pyranometer) といい、ギリシア語の「pyr(炎)」、「ano(空)」に由来する。
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