先使用権(せんしようけん)
”先使用権”とは、商標や発明を使用(実施)していたことに基づいて、権利侵害にならずに使用を続けることを認める権利である。 他人(商標権者)がその商標を出願する前から、同じような商標を自分が使っており、しかもある程度有名(周知商標)になっている場合は、引き続きその商標を使うことが認められる権利(商標法第32条)。ただし、不正競争の目的で使っていたのであれば、先使用権は認められない。
他人の出願前に、その発明を実施(たとえば社内で使用していた等)したり、実施の準備をしていた場合には、当該他人が特許権を取得しても、その発明を継続して実施できるという権利(通常実施権)である(特許法79条)。(執筆:弁理士 古谷栄男)
先使用権
先使用権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:09 UTC 版)
特許法は、「特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する」と定める。この通常実施権を、「先使用権」という。 ここでいう発明の実施である事業の準備とは、「その発明につき、いまだ事業の実施の段階には至らないものの、即時実施の意図を有しており、かつ、その即時実施の意図が客観的に認識される態様、程度において表明されていること」をいい、物の発明の場合、先使用権を得るためには必ずしも実際に製造している必要はないが、既に発明が完成されていなくてはならない。先使用権の成立が争われたウォーキングビーム式加熱炉事件において、最高裁判所は、引合いを受けて見積仕様書及び設計図を提出した段階で発明が完成され、即時実施の意図が客観的に認識されえるように表明されていたとして、先使用権の成立を認めた。
※この「先使用権」の解説は、「未完成発明」の解説の一部です。
「先使用権」を含む「未完成発明」の記事については、「未完成発明」の概要を参照ください。
「先使用権」の例文・使い方・用例・文例
先使用権と同じ種類の言葉
- 先使用権のページへのリンク