元・所属アニメーター及び参加アニメーターによる内部告発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 23:33 UTC 版)
「MAPPA」の記事における「元・所属アニメーター及び参加アニメーターによる内部告発」の解説
MAPPAに所属し、2021年放送の『進撃の巨人 The Final Season』にも参加したアニメーターが同社を退職後、自身のTwitterアカウントにて同社の労働環境の劣悪さを告発した。 同アニメーターによると、同社はフリーアニメーターや海外スタジオに原画の工程の多くを発注していた。しかし、原画の発注を受けるのに一定期間のノルマが必要な所属アニメーターと違い、フリーアニメーターは経験年数に関係なく原画を受注できる。外注先から送られてくる原画は多くの修正を必要とし、同社所属アニメーターは残業をして朝まで外注先から届く原画の修正作業に追われた。また、同社は「作品数が多いということはアニメーションに需要があり、その需要に対して高品質な作品をいかに供給できるかが問題」という理念から、年間に最大で8作品のTVアニメーションを受注・制作していたが、同アニメーターによると、当時の制作現場は4つの作品を同時進行で制作するほど多忙であった。この社内環境から所属アニメーターたちは原画を描くのではなくリテイクばかりを請け負う状況となっていた。 これらの投稿が注目されてネット上の各所に情報が拡散。2021年5月19日、この情報が北米最大規模のアニメ紹介サイト「Anime News Network」にも取り上げられたことで海外のアニメファンから批判を受けることになった。 さらに、「チェンソーマン」の初公開PVで話題を集めたMAPPA設立10周年記念イベント『MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-』より翌日以降、同社作品に参加した複数のアニメーターより労働・給与体制について指摘するコメントが投稿された。同社制作の劇場作品にて動画の工程を請け負ったアニメーターは、丁寧な仕上がりを求められる劇場作品で動画一枚の単価が250円であったことを批判し、高度な完成度が求められる映像作品であったため、とても厳しい仕事であったと投稿している。 同社がNetflixで制作するアニメーションの原画を請け負ったアニメーターは、1カットの単価が3,800円であったことを告白し、通常は平均的なテレビシリーズの単価である3.000円から7,000円の中でも低い安価な値段を提示されたことを問題視した。アニメーターによると、本作は高品質な作画を求められる配信アニメであり、通常であれば1カット15,000円以上で交渉するのが妥当な値段であることを述べ、もし3,800円で請け負えば他のアニメーターの単価も下がってしまうことを問題視した。なお、同アニメーターは本作を発注しているNetflixについても問題視している。これらのコメントには業界内のフリーランスのアニメーターも多く反応を寄せ、安価な単価による発注を問題視した。そして、2021年7月2日、この情報が再び「Anime News Network」にも取り上げられたことで海外のアニメファンから再度、批判を受けることになった。 これらの騒動に対し、同社は7月7日に同社公式ホームページにて声明を公表。該当作品や過去の元請作品において受託した制作費に対し、発注した単価価格は適切であり、各アニメータにその受注を強制した事実は一切ないこと。さらに、今回のような情報漏洩に強く抗議するとともに断固とした措置をとることを主張した。なお、適正価格がいかほどだったかについては明かされていない。
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