僧院の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「僧院の物語」の解説
わたしがルームを旅していると、キリスト教僧院のマルトナという僧侶の罠にかかり、僧院に幽閉されてしまった。わたしを憎み餓死させるつもりだったのだが、僧院にはタマシルという美少女がいて、ひそかにパンを運んできてくれたため生き残ることができた。わたしはそこで五年すごし、このたび隊商によって救助されたわけだが、そのあいだにタマシルは絶世の美女に成長しており、また、僧院には多くの財宝が残されている。ぜひわたしを案内者として美女と財宝を手に入れるべきである。 災厄の母の言うがまま、全軍を侍従長にまかせて進軍させ、ダウールマカーン、シャールカーン、大臣ダンダーンの三人が百の精兵を率いて僧院に向かうことになる。災厄の母は百騎の切り離しに成功したことをすぐにアフリドニオス王へ知らせ、一万騎の兵を派遣させる。兄弟たちは僧院へ攻め込みすぐに陥落させるが美女タマシルはおらず、しかたなく立ち去ったところを敵兵に囲まれてしまった。災厄の母は言葉たくみに決戦させるよう誘導し、回教徒勢は鬼神のごとき働きをみせるが、一日目の戦闘が終わると四十五人に減っていた。 本軍に救援を求めてくるといって、災厄の母は姿を消す。次の日には十人を残すのみとなったが、なおも洞穴にたてこもって抵抗する。手をやいたキリスト教軍は、火攻めをしかける。いぶり出された三人はついに捕虜になってしまうが、隙を見て脱出し、森にひそんで「アッラー・アクバル!」と何度も叫ぶと、大軍がせめてきたと勘違いしたキリスト教軍はパニックに陥いる。そこへ救援軍が到着。兄弟たちはこれを指揮し、パニック状態のキリスト教軍に襲いかかってこれを殲滅する。 コンスタンティニアに向かうと、今度は災厄の母があらわれて本軍の急をつげる。いそいで向かうと、ちょうど侍従長が敗走してくるところであった。もちろんこれも災厄の母の計略である。王たちへの救援兵を割いて手薄になったことをアフリドニオス王へ知らせて総攻撃をかけさせたのだ。軍をたてなおして進撃すると、アフリドニオス王がシャールカーンに一騎討ちを挑んできた。シャールカーンは勇んで受けてたち、一日目は両者互角に戦う。しかし二日目、だまし討ちにあって負傷してしまった。 怒ったダウールマカーン王はアフリドニオス王に一騎討ちをしかけ、怒りにまかせてその首をうつ。それを期に回教徒軍はキリスト教軍に襲いかかり、これを殲滅した。これに顔色をかえた災厄の母は、療養中のシャールカーンとふたりきりになるチャンスを待つ。そして災厄の母は、シャールカーンが眠っているあいだに首をかき、おのれの計略をあかしてさらにダウールマカーンとダンダーンの首もとると宣言したメモを残して立ち去る。シャールカーンの遺体を発見したのは、これまでずっと謎の聖人を疑っていた大臣ダンダーンだった。 ダウールマカーン王は兄の死を悲しみ、長いあいだ何も手につかなかったが、長男カンマカーンの誕生を知らせる手紙が届くと、やっと行動を開始する。シャールカーンの喪明けを終わらせると、ダウールマカーン王は大臣ダンダーンに、心楽しい物語をするように命じる。
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