偽造・変造硬貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 16:13 UTC 版)
1982年(昭和57年)に五百円硬貨が導入された同年、韓国でも500ウォン硬貨(朝鮮語版)が導入された。当時の為替レートで日本円で約170円の価値であったが、材質も大きさも五百円硬貨と全く同じ、直径26.5mmの白銅製であり、量目のみ7.7gとやや重いだけであったため、表面を僅かに削ったりドリルなどで穴を空けたりすることで0.5g質量を減らし、自動販売機で7.2gの五百円硬貨として通用させる例が続出した。 主な手口としては、変造した500ウォン硬貨を投入して「返却レバー」を操作し、自動販売機に蓄えられていた真正の五百円硬貨を取り出すというものである。投入した硬貨とは別の硬貨が返却口に出るという自動販売機の設計上の仕組みを悪用し、500ウォンと500円の為替レートによる差額利益を得る。また、真正な五百円硬貨を盗むほかに、変造した硬貨を500円として通用させて自動販売機から500円相当の商品や切符、あるいは釣銭を盗む手口もある。 この手口に対処するため、投入した硬貨をプールしておいて返却に備えるよう、自動販売機の構造が改められた。 500ウォン硬貨以外にも、件数は少なかったものの材質や質量・寸法が似通っていたイランの1リヤル硬貨やハンガリーの20フォリント硬貨および50フォリント硬貨、ポルトガルの旧25エスクード硬貨などを変造した硬貨、および偽造硬貨も発見されている。 このように、五百円硬貨を取り巻く状況が非常に悪くなったこともあり、2000年(平成12年)に五百円ニッケル黄銅貨に改められた。 五百円ニッケル黄銅貨発行後、自動販売機やATMの更新もあって、五百円白銅貨として通用させた変造硬貨は、次第に使用されなくなっていったが、2003年(平成15年)ごろから散発的に五百円ニッケル黄銅貨の偽造が報告され始めた。 2005年(平成17年)1月末には、東京都・福岡県・熊本県の郵便局のATMや窓口から、最終的に2万枚近くに上る大量の五百円ニッケル黄銅貨偽造硬貨が発見され、同地域の郵便局ではATMでの硬貨の取り扱いが一時中断された。多くの自動販売機では一度に投入できる500円硬貨の枚数を3枚までに制限しており、一部の自動販売機では1枚に制限している事例もある。 上述のような経緯から、五百円白銅貨は法的には現在も通用可能であるが、自動販売機などの精度の向上または更新により、使用できないケースが増えている。また昭和33年銘以前の十円硬貨(ギザ十)も自動販売機で使用できない比率が高い。 2020年(令和2年)の年末に、偽造五百円硬貨が相次いで発見された。五百円バイカラー・クラッド貨の発行を前に、犯人は偽造硬貨の使用を急ぐとの見方もある。 日本では、偽造通貨は日常的に見かけるほど出回っておらず、偽造通貨が見つかるとニュースになるほどであり、世界的に見ても日本円の偽造通貨は非常に少ないが、その中では五百円硬貨は一万円紙幣に次いで2番目に多いとされる。
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