偽造パスポートの用意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:12 UTC 版)
「マブチモーター社長宅殺人放火事件」の記事における「偽造パスポートの用意」の解説
小田島は2002年6月25日付で仮釈放を許され、宮城刑務所を出所した。同日、保護観察所に出頭した小田島は東京都内の更生保護施設に入所するとともに、義父からMの携帯電話の電話番号を聞いた。Mに電話をかけて連絡を取った小田島は、翌6月26日、外泊許可を受けて、Mに駅まで迎えに来てもらい、Mが用意したアパートに行った。 小田島はアパートに着くと、宮城刑務所の中で話した「マブチモーターを狙う計画」についてMと話し合った。 Mは「小田島に計画を実行する気持ちがまだ残っていれば、やるつもりだ」と考えていたため、小田島から「マブチモーターの社長宅を狙おう。Mさん、気持ちは変わってないか」などと切り出し、犯行計画を実行する気持ちに変化がないか確認された上で、改めて「10億円くらいは手に入る」などと切り出されると、Mは「大丈夫です。やりましょう」と答えた。 そのため2人はその場で、刑務所内で話した計画の内容を再度確認し、億単位の金員を強取できるものと期待し、これを実行することを決めた。小田島はその際、Mに対し「事件を起こした後、警察からのマークを避けたり、海外逃亡できるように、他人名義のパスポートを作りたい」と相談した。Mは「小田島が逮捕されれば、自分の身も危うくなる」と考えたことから、これに協力し、前記の方法で入手した浮浪人の個人情報・同人名義の国民健康保険証などを小田島に受け渡した。 小田島は、浮浪者名義のパスポートを入手するとともに、犯行後に他人に成り代わって生活するため、Mの共犯者が入手していた浮浪者の個人情報を利用した。2002年7月12日、小田島は同名義の一般旅券を入手しようと、この浮浪者が住民登録していた伊勢崎市役所に対し、浮浪者の住民登録を不正に異動させようとして、市民課戸籍係員に対し「浮浪人は伊勢崎市内の(Mが用意したアパートの)住所に転入した」とする虚偽の内容の住民異動届を提出するなど、虚偽の申し立てをして、住民基本台帳ファイルに嘘の記録をさせ、備え付けさせた(小田島の電磁的公正証書原本不実記録罪、同供用罪)。 小田島は2002年7月22日、更生保護施設から義父方を転居先とする転居許可を受け、2002年7月25日に施設を退所した。 小田島は2002年7月26日、同じく浮浪者名義で外務大臣・川口順子(当時)宛ての一般旅券発給申請書を作成し、その氏名欄に浮浪人の実名を、現住所欄に「群馬県伊勢崎市…」(当時の2人の住所)などと記入し、申請者署名欄にも浮浪人の実名を記載した上で、小田島自身の顔写真を貼り付け、一般旅券発給申請書1通を偽造した(小田島の有印私文書偽造罪)。 小田島は同日、この一般旅券発給申請書を前橋市内の群馬県パスポートセンターに、浮浪人の戸籍謄本などとともに本物と装って提出し、群馬県知事(当時:小寺弘之)を経由し、川口外務大臣に一般旅券の発給を申請した(小田島の有印私文書行使罪)。 2002年8月6日付、小田島は同センターで、浮浪人名義・小田島の顔写真入りの一般旅券(旅券番号:TG2422125)の交付を受けた(小田島の旅券法違反)。この不正行為で小田島が旅券の交付を受ける際、Mはあらかじめその情を知りながら、2002年6月27日頃、同県伊勢崎市内のM方(当時)で小田島に対し、浮浪人名義の国民健康保険被保険者証・住民票などを手渡し、前述の各犯行を遂げるために必要な浮浪人の氏名・生年月日・登録住居地など、各種個人情報を教示するなどし、小田島の各犯行を容易にさせ幇助した(Mの電磁的公正証書原本不実記録幇助罪、同供用幇助罪、有印私文書偽造幇助罪、同行使幇助罪、旅券法違反幇助)。
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