信頼性マルチキャスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 15:05 UTC 版)
「IPマルチキャスト」の記事における「信頼性マルチキャスト」の解説
マルチキャストはその性質上、コネクション指向ではない。このため、TCPのように欠けたパケットを再送可能なプロトコルを使用するのは適切でない。オーディオ/ビデオストリーミングのようなアプリケーションで、たまにパケットをドロップしたとしても問題はないのである。しかし、重要なデータを配布する場合、再送要求のためのメカニズムが必要となってくる。 シスコシステムズが提案した再送スキームにPGMがある(もとはPretty Good Multicastingの略とされたが、商標上の理由でPragmatic General Multicastに改められた)[要出典]。PGMはRFC 3208で文書化されている。このスキームでは、マルチキャストパケットはシーケンス番号を有する。パケットが欠けた場合、受信者は欠けたパケットを再びマルチキャストするよう要求できる。同一マルチキャストグループに所属する他のメンバーは、自分に必要なければ再送データを無視する。拡張バージョンであるPGM-CCは最も低い帯域幅の受信者に合わせてグループ全体の帯域を下げ、IPマルチキャストをより「TCPフレンドリ」にしようと試みている。 Internet Engineering Task Force (IETF)により文書化されたその他のスキームは以下の2つである: NACK-Oriented Reliable Multicast (NORM) : RFC 5740とRFC 5401で文書化されている。standard-track(標準化過程)のプロトコルである。 File Delivery over Unidirectional Transport (FLUTE) : RFC 3926に文書化されている。experimental(実験)段階のプロトコルである。 これらプロトコルの実装例はプロプライエタリ、オープンソースそれぞれに存在する。Scalable Reliable Multicastのようなプロトコルも存在するが「何をもって『信頼性(がある)』とするのか」といった基本概念、エラー検知の手段、エラー回復に用いるメカニズム、エラー回復の拡張性に違いがある。ACMのSIGCOMM Multicast Workshop(1996年8月27日)は信頼性マルチキャストプロトコルのリストを掲載し、この問題についていくつもの解決法を文書化した。 Internet Protocol Multicast Standards Initiative (IPMSI)のような独立グループは、提案中のSecure Multicast for Advanced Repeating of Television (SMART)のような真に拡張性に優れたセキュアな信頼性IPマルチキャストプロトコルが不足しており、このことがドメイン間ルーティングへのIPマルチキャストの採用を妨げている、と主張している。 マスメディアが、スポーツイベント(例えばスーパーボウルのような)やニュース速報を公共のインターネットに配信できないのは、AES水準のセキュリティと信頼性を有する拡張の容易なシステムが不足していることが原因である[要出典]。 前述のPGMやSMARTのような信頼性IPマルチキャストプロトコルは未だ実験(experimental)段階である。NORMは標準化過程(standards-track)に昇格した(RFC 3941のstandards-track revisionはRFC 5401であり、RFC 3940のstandards-track revisionはRFC 5740である)。
※この「信頼性マルチキャスト」の解説は、「IPマルチキャスト」の解説の一部です。
「信頼性マルチキャスト」を含む「IPマルチキャスト」の記事については、「IPマルチキャスト」の概要を参照ください。
- 信頼性マルチキャストのページへのリンク