保険料や税の増額
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:34 UTC 版)
「日本の福祉#財源の確保」および「日本の租税」も参照 社会保険料を値上げすると、公的健保の収入が増える。しかも医療技術の発達などによる医療費の増大にも対応できるため、医療の質を保つという点では大変好ましい。間接的に医療収入が増えて医療機関が潤い、雇用促進につながる。しかし、経済全体が冷え込んでいる不況時に保険料を上げれば他の消費がますます冷え込む可能性がある。現在日本は、先進国の中で対GDP比で医療費は少ない方であるが、国民の間接負担を増やすのは、国民の理解が得がたく政治的に困難である。 また保険料納付率が低下しており、増額したとしても滞納額が増えるだけに終わる可能性もある(2009年の国保未納率は約12%まで上昇)。診療ごとに支払う自己負担額に対して年間保険料負担が大きいと、保険料を未納のまま放置して症状が出るたびに自由診療を受けた方が結果的に安く付くケースも存在し、そのため自営業者などの多い国保で保険料納付率が著しく下がっている。またサラリーマン層や低所得層を中心に、救命不可能な状態に病状が悪化するまで診察を受けないケースも散見されるようになった。OECDは医療費財政を社会保険に頼ることは、労働コストを上昇させ労働市場に悪影響を及ぼすとしている(現在は賃金の8%が保険料であるが、増税なき場合には2035年度の保険料は24%まで上昇するとの試算)。 そのため増税によって原資確保し、政府一般会計から公的社会保険に国庫負担金を繰り入れることも考えられている。OECDは2009年に、高齢化を見据えた財源確保および労働コスト上昇回避のため、医療費財源を一般会計へ移行し、その増税は消費税などの間接税がベストな選択だと勧告している。2013年の社会保障国民会議においては、医療・介護の充実のために2015年度には消費税率換算で+1%強、2025年度には+3%弱ほどの財源が必要との最終報告がなされた(社会保障と税の一体改革)。2014年4月には消費税が8%に、2019年10月には10%に引上げられている。
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