作業員と工事計画のミス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 08:57 UTC 版)
「広島新交通システム橋桁落下事故」の記事における「作業員と工事計画のミス」の解説
元請のサクラダの工事統括責任者(工事部長)は、降下作業の予定を知りながら現場にいなかった。また工事現場代理人はジャッキの設置方法の注意をせずに立ち去り、代理人補佐もジャッキ下げの指示を与えただけで下に降りてしまい実際の現場監督は二次下請けの職員に任せていた。しかし、この職員は1か月前まで事務職員であり、現場経験がなく建設の技術的知識は皆無であったことから、ただ漫然と見ていただけであった。 事故現場を担当した三次下請けの建設会社は橋桁の架設工事の契約は今回が初めてであった。実際にジャッキ操作していた4人のうち、2人はとび職であったが現場作業にブランクがあったうえに橋の架設工事を行った経験がなかった。残りの2人は数か月前までは眼鏡の加工販売に従事していたという初心者であった。すなわち重量物のジャッキ降下という危険作業でありながら素人同然の作業員に任せている状態であった。また、H形鋼の積み間違い(橋桁を受けるためには、完全に強度不足)という、致命的な作業ミスをしていることに気付く者は誰一人いなかった。この背景には、アジア大会準備のために広島市内各所で建設工事が行われており、深刻な人手不足のため熟練した作業員が不足していたこともある。そのため頭数だけそろえた素人作業員が危険な作業をしていたことになる。 このように工事の請負が元請や下請けなど階層構造になっていたうえに、施工管理体制にも問題があった。本来作成されるはずの作業計画は存在せず、作業者に手順の説明すら行われていなかった。また施工方法の検討も不十分であり、転倒防止用のワイヤを張らずに桁を単独で降ろすなど、万が一の事態に対する落下防止策などの備えが無かった。
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