作品構想と背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 14:53 UTC 版)
『ティマイオス』と『クリティアス』は、プラトンがシュラクサイの僭主ディオニュシオス2世の下で理想国家建設に失敗した後、晩年にアテナイで執筆した作品と考えられている。両作品はプラトンの師匠である哲学者ソクラテス、プラトンの数学の教師とも伝えられているロクリスの政治家・哲学者ティマイオス、プラトンの曾祖父であるクリティアス、そして、シュラクサイの政治家・軍人ヘルモクラテスの4名の対話の形式で執筆されている。『ティマイオス』では主にティマイオスが宇宙論について語り、『クリティアス』では主にクリティアスが実家に伝わっているアトランティス伝説について語っている。ヘルモクラテスは一連の作品群で語りの役割を果たしていないが、作品中ソクラテスによって第三の語り手と紹介されている。このことから、プラトンの対話集の英訳で知られる英国の古典学者ベンジャミン・ジャウエット(英語版)などにより、 アトランティスとアテナイの間の戦争に関して、軍人ヘルモクラテスに分析させた、『ヘルモクラテス』という作品が構想されていたという説が提唱されている。 核となる伝説は、アテナイの政治家ソロンが、エジプトのサイスの神官から伝え聞いた話であるとされる。これを、親族で友人のドロピデに伝え、その息子のクリティアスが引き継ぎ、彼が90歳・同名の孫のクリティアスが10歳の頃、祖父が孫にアパトゥリア祭(英語版)の時に聞せた事として、対話集の中で披露されている。 作中の神官によると、伝説の詳細は手に取ることのできる文書に文字で書かれているとされる。ソロンはこの物語を詩作に利用しようと思って固有名詞を調べたところ、これらの単語は一度エジプトの言葉に翻訳されていることに気付いた。そこでソロンはエジプトで聞いた伝説に登場する固有名詞を全てギリシア語風に再翻訳して文書に書き残し、その文書がクリティアスの実家に伝わったという。ソロンは結局帰国後も国政に忙しかったため、この伝説を詩に纏めることができなかったとされている。
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